私は、ある夏の日の夕方、泣きながらこの世に生まれた。
人はみな泣きながらこの世に生まれる。
安全な子宮の海を船出して、未知なる航海に出て行くことがどんなにこわくても、ある日、新しい世界に旅立つことを決意して人は生まれてくる。
まるで、この世の痛みや苦しみを象徴するかのような、あの真っ暗で狭い産道。
その暗闇の道を潜り抜けて出てくることは、どんなにか不安でこわかったことだろう。
人は誰でもこの世界に生まれる時に産声をあげるけれど、生きていく中で、自分の中から新しい自分が生まれる時も産声をあげる。
古い私が死に、新しい私が生まれる時のあの耐え難いほどの恐怖と苦痛、胸が張り裂けそうな痛み。
私も、自分の内側を旅し始めたどこかの時点で、確かにある日、魂の産声をあげたのだと思う。
でも、その日がいつだったのかはもうよくわからない。
とにかくその産声をあげた日から、私は、「私とは誰か」「世界とは何か」「私は何のために生まれたのか」という探求の道に歩みだしたのだ。
歩き出した最初の一歩はいつだったのだろう。
もうずいぶん遠い昔に感じる。
心理的なハイハイ期間、つかまり立ち、ヨチヨチ歩きの期間があって、気がついたらある日突然、足を大きく踏み出し歩き始めたのだ。
それからは、なんかすごい勢いでグングン歩いてきたような気がする。
歩き出したら、見える世界がどんどん変わっていった。
世界とは、決して、誰の目にも同じように見える客観的存在ではない。
自分の意識が変わってくると見える景色、世界も自然に変わってくる。
そういう意味では、世界とは、まさしく私の意識が見ている地平であり、私の眼差しの向こうに広がる風景であり、宇宙なのだ。
世界とは私であり、あなたであるという途方もない真実、そして神秘・・・。
人の「魂の物語」を構成しているもの
自己の探求は、まるでメビウスの輪のように、内側を辿っていったら、外側だったというあれに似ていて、内側を見詰めていたら、最も大きな外側、宇宙に出ていたのだ。
「あれっ?」て感じだった。
私は、私を見詰めていたのに、気がついたら宇宙のこと、神さまのことを考えていたのだ。
それはまるで、恋焦がれていた人にやっと出会えたようなうれしさだった。
このメビウスの輪を辿る内に私は少しずつ見えてきた。
人の魂の物語を構成している基本的な筋を。
それは、この世でなすべきこと、楽しむこと、学ぶべきことの脚本であり、出会うべき人のキャスティングの意味だ。
それぞれの魂が計画してきた“人生の暗号”、“人生のシナリオ”、“天命”を解読する切り口、それは・・・。
1)この人生で、多大なる影響を受けた人物・本・音楽・絵画・場所・出来事との出会いを通して。
2)愛する者との出会い、その人との間で起きた苦しみから愛を学ぶことを通して。
3)人生に降りかかってきた耐え難き試練や、ある人間との確執を通し自分の成長の課題に気づくことを通して。試練の下にはギフトあり。
4)子供の頃からわけもなく好きだったこと。楽しかったこと、得意だったこと、親や人からほめてもらえたもの。不思議でしょうがなかったこと。反対に、これは納得できない、おかしい、違うと感じるものを通して。
5)やってみたら次々に興味や関心がわいてくるもの。問題意識や創意工夫が次々に湧いてくるもの。好きだから、努力が苦にならないもの。
6)心のやすらぎや幸福感を得られるもの、自分のいのちが喜んでいると感じるものを通して。
7)大人になって、これは何か違うという違和感を覚えるもの。これはおかしい、このままではいけない、何とかしなければと思うものを通して。
8)理屈や損得を超えて行動に移せるもの。寝食を忘れて夢中になれるもの。無心になれるもの。わけもなく心惹かれる“ものやコトや人や場”を通して。
9)信じられないようなシンクロ現象や、不思議な出会い、大切な人との出会いの意味を通して。
10)いのちの底からこみあげてくる想い、あふれてくる魂の衝動を通して
いのちの中に内在する宇宙の意志
考えてみれば、好きという気持ちも、これがしたい、これは楽しい、不思議、面白いという感覚、これはおかしいという違和感も、すべて「感じるもの」であり、自分の“内側”から勝手に「湧き出てくるもの」だ。
ということは、一人ひとりの人生の目的は、いのちの中にすでに“種”としてあるということなのだ。
そして、出会いや予期せぬ出来事は自分の頭の計画外で、人生に“自然に起こる”ことだ。
自分の内側から“自然”に湧き上がってくるもの、人生で“自然”に出会ってしまうもの。
この“自然”は、個を超えたより大きないのちの働き、人智を越えたものの働きであることがわかる。
これを理解できた時に、一人ひとりの人生には、神(大自然・宇宙)の計らいがあるということが本当に深く納得できたのだ。
神さまから与えられる試練は、自分の“人生の暗号”を解読する最大の鍵であることを知ると、人生の被害者、犠牲者の罠から抜け出せる。
私も神さまの愛を勘違いしていた頃はこれがわからなかった。
無条件の愛、無償の愛といわれている神さまの愛は、ただただ優しく、あたたかく、私を助けてくれるもの、願いや希望を叶えてくれるものだと思っていたから、試練の中に神さまからの贈り物があるなんて到底信じられなかった。
それさえも愛だったなんて苦しみの渦中は到底受け入れられなかった。
長い時の流れが必要だった。
根源の Power of Being
神さまという根源の Power of Beingの意図と計画に気づかざるをえないことが次々に起きてきたことは幸いだったのだ。
そのお陰で、「何があってもなんとかなる。何が起きてもなるようにしかならない。プロセスは完璧なのだ」といつしか思えるようになったからだ。
その“なんとかなる”という感じは、昔のような単純な楽観主義ではなく、自分を超えた大いなるものの力を本当に信じられるようになった頃から生まれてきた平安の感覚だった。
もちろん一朝一夕でこんな気持ちになれたわけではない。
思いっきりオロオロ、ジタバタし、抵抗し、混乱した挙句に辿り着いた意識の境地だ。
思いっきり抵抗して良かったと思う。どんなに抵抗しようがだめなんだということがわかったから。
人生の“変化の波”に抵抗すればするほど、過去の自分や、誰かに、何かに執着すればするほど、苦しくなるのは自分なのだということが本当にわかったから。
で、執着や抵抗をやめて、ぽーんと身を投げ出してみたら、なんと、もう次のステージはしっかり用意されていたのだ。
神さまは、その人が、そのことを通して大切なことに“気づく”ために、
その人が本質に“目覚める”ために、最高のタイミングでコトを起こす。
それは、その人が真の意味で自立し、自分の生まれてきた目的、お役目を思い出してもらおうとする親心のようなもの。
我が子の幸せだけを願う肉体の親と同じように天の親は、自分が生み出した全ての存在の幸せを願っている。
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心理カウンセラー、セラピスト、研修講師、作家、東海ホリスティック医学振興会顧問
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