「治す物差し」「癒える物差し」

「治す物差し」「癒える物差し」

 

親が年老いていくにつれ一緒に病院に行くことが多くなってきた。

そこでいつも気になることがある。

建物も設備もりっぱな病院なのだが、

医師が患者の顔をろくに見もせず、

話もあまり聞かず、コンピュータの画面ばかり見ていることだ。

患者の話を聞いたり、からだに触れるより、キーボードに触れている時間の方が長いのだ。

患者の顔をろくに見ていないことさえある。

医療者がすごく忙しいのはもちろんわかるのだが。

しかし、仕事の時間が忙しいのはどの職業でも同じではないだろうか。

 

 

親に叱られて小さくなっている子供みたい

 

年老いた親が、病院に行くたびに元気がなくなる。

お医者さんの前でものすごく緊張して、小さくなっているのを見ているとかわいそうになる。

母は、親に叱られている子供みたいな表情をして患者の椅子に座っている。

母親世代にとっては、お医者さんというのは権威の象徴だから

「この薬を飲んで下さい」

と言われると盲目的に従う。

薬だけでお腹いっぱいになるんじゃないのと思うくらいたくさんの薬が処方される。

母にとっては、お医者さんは絶対的存在だから、

「飲まない」という選択肢はないのだ。

医師と患者に限らず、誰かを絶対的な存在と思うことは、

その下に依存心を隠し持っているのだが。

自分の人生に責任を持つということから逃れているのだ。

しかし、認知症がかなり進んでいる母には、

もはや自分の言動、態度に責任を持てる状況ではないので、

娘である私が不必要な投薬をされていないか調べるしかないのだ。

認知症がここまで重度になる前に、

自己治癒力をあげる色々な手法を伝えたのだが、

病気は、お医者さんが、手術や薬で全部治してくれるものという、

信念(ビリーフ)を持っている母には通用しなかった。

バッチ・フラワーレメディもアロマセラピーもハーブティも気功も瞑想も

10日くらいしか続かなかった。

そもそも全く信じていないので、続けてやってみようとは思わなくて当然だった。

母にとっては、私からの電話や直接私の顔を見ることが、

どんな療法より効き目があるのだった。

 

 

優しかったんだな、あのお医者さん

 

子供の頃、我が家には、かかりつけのお医者さんがいて、

そのお医者さんはいつも聴診器をハーって息で温めてから、私の胸や背中に当ててくれた。

やさしかったんだな、あのお医者さん。

診察が終わるといつも私の頭を撫ででくれた。

お医者さんに撫でてもらうと頭がよくなるような気がしてすごくうれしかった。

大好きだったな、あのひげ面のクマさんみたいだったお医者さん。

もう何十年も前のことなのに、いまだに覚えている人がいるものだ。

 

 

人の世の営みというのはいつだって

 

なんだか、最近は、こういうお医者さんや、

温かなぬくもりのある病院が少ないように思う。

医療が高度化すればするほど、医療からやさしさやぬくもりが失われていくような気がしてならない。

高度医療になるほど、からだに触れるものは、ひやっと冷たい機械や管が多くなる。

高度医療というのが、医療機器や検査・治療技術の進化だけではなく、

患者が医療環境に感じる快適感、安堵感、

患者が医師と深い対話ができるコミュニケーションの環境も共に進化してほしい。

人間は、ロボットじゃない。

気持ちをいっぱいもっている。

人の世の営みというのはいつだって、

ささやかなものに感じる幸福感だったり、安堵感だったりする。

ささやかなもの、なんでもないようなことが、

涙がこぼれるほどうれしかったりするのが人間だ。

 

 

ハイテク医療とハイタッチ医療

 

医療がハイテク化すればするほど、

ハイタッチ医療とでも呼ぶべきもの、

人と人との人間的な触れ合い、心の交流、身体の心地よさが同様に求められていると思う。

自然療法、代替医療、自助療法、お手当、ボデイワーク、様々なヒーリングの手法を

「お医者さんごっこのレベル」

と冷たく言い放つ医療者がいるが、それは本当だろうか。

そのお医者さんごっこに過ぎないと思われているものの中で、どれだけ、

元気がない人、老いてゆく人、病む人が癒されていることか。

元気とか、健康というのは、病気がない状態、病気が治ったという状態だけではない。

うれしい、気持ちいい、ありがたい、幸せって感じられる、

心身の感受性が戻っている状態でもあるのだ。

ハイテク医療は「治す物差し」

ハイタッチ医療は「癒える物差し」

医療には両方必要だと思う。

 

 

人間は生身なのだから

 

実際、感動や感謝や笑いが免疫を上げることが科学的にも証明されている。

からだと心に心地よさの余韻が残るハイタッチ医療は、

ハイテク医療と相互補完的な関係なのだと思う。

人間は生身なのだから、

感じたり揺れ動いたりするわけだから、

いいかんじにいい揺れが起こる様にしてあげることが、

ハイタッチ医療の真髄だ。

 

 

 

医療者のラビングプレゼンス

 

もうひとつ医療者に望むことは

「聴く技術」だ。

医療者が、もっと患者の心に寄り添って話を聴く、

傾聴の技術、カウンセリング・マインドがあると、

どれだけ患者は救われ、癒され、安心するだろう。

私はこれまで幸いなことに医者運、治療家運がよかったのだけれど、

医師の心無い一言で地獄に突き落とされるような体験をした人の話しを聞くことも少なくなかった。

「治った前例はありません」

とか、

簡単に「悪いものだから切りましょう」などと。

女性が、乳房や子宮や卵巣を失ってしまうことに、

どれほどの不安や怖れや寂しさを感じているかなどお構いなく。

患者という字は、心が串刺しになっている者と書く。

文字通り、患者は、とても不安で傷つきやすい心の状態にあるのだ。

それ故、言葉の力とメタスキル(医療者、援助者の技術や理論を超えた在り方・雰囲気・態度)が、

どれだけ患者に大きな影響力を持つことだろう。

医学教育の中にコミュニケーション・スキル、カウンセリング・マインドの学びを必須科目として入れてほしいくらいだ。

ハコミセラピーで言う、

「ラビングプレゼンス」(愛を持ってクライアントさんに寄り添うセラピストの態度・在り方)と、

「アクティブ・リスニング」(積極的傾聴・能動的な聴き方)を医療者が学んだら、

医師と患者の関係性やコミュニケーションは大きく変わると思う。

 

 

医療現場にも女性性の資質が求められている

 

今は、病院だけでなく、学校、企業、家庭といった、

人と人が密に関わり合う場、

共に生きる場に女性性の資質が求められているのだ。

社会全体が「女性性」「社会的母性」といった資質を必要としているのだと思う。

健全度の高い女性性の資質とは、

「つながり」「やすらぎ」「くつろぎ」「共にあること」「分かち合うこと」

「穏やかさ」「安心感」「慈悲」「無防備さ」「共感」「受容」「ゆだねること」

「信頼」「許し」「受け止めること」「聴くこと」

など愛のエッセンスがあげられる。

自信がない

才能がない

お金がない

健康でない

良い人材がいない

やる気が出ない

人生がうまくいかない

と、「ない」もの「足りない」ものを数える人生から、

すでに充分

「ある」もの、

「もらってるもの」

「充分満たされているもの」

「与えられているもの」

を数えられる人生になると自分自身がまず幸せになっていく。

母の老いの姿を見て、時につらくなってしまう時もあるが、

今、私が幸せに生きていられるのは、

この母に命をもらったからなのだと思うと、

認知症の母の、

時に理不尽な言動にも余裕を持って接することができる。

母は、何より、私に話を受け止めて聴いてもらえることが最高の薬のようなのだ。

なので、私自信がご機嫌でいられるように日々を過ごすことが、母に優しく接しられることなのだ。

 

 

< Receptivity 受容性 >

聴くことは、神の寺院に入るためのもっとも基本的な秘法のひとつだ。

聴くことは、受身であることを意味する。

聴くことは、自分自身を完全に忘れてしまうことだ。

そうして、初めて、あなたは聴くことが出来る。

ある人の言うことを注意して聴いていると、自分のことは忘れる。

自分のこと忘れられなかったら、決して聴いてはいない。

自意識が過剰だったら、あなたは聴いているふりをするだけだ一。

聴いてはいない。

うなずいたり、ときには、「はい」とか「いいえ」とか言うだろう一。

が、聴いてはいない。

聴いているときは、あなたは通路、受身、受容性、子宮になる。女性的になるのだ。

そして、行き着くためには、人は女性的でなければならない。

攻撃的な侵略者、征服者として神に到達することはできない。

あなたが神に到達できるのは、

ただ・・・あるいはこう言ったほうがいいだろう一。

神があなたに到達できるのは、

あなたが受身、女性的な受身の状態のときだけだ。

あなたが陰に、受身になったとき、扉が開かれている。

そして、あなたは、待つ。

聴くことは、受身になるためのアートだ。

OSHO

 

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岡部明美
岡部明美
心理カウンセラー、セラピスト、研修講師、作家、東海ホリスティック医学振興会顧問
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