「世界の車窓から」 〜スイスリアル版〜

「世界の車窓から」 〜スイスリアル版〜

 

マルセル・プルーストが「本当の旅の発見とは、新しい風景を見ることではなく、

新しい目をもつことにある」という、ものすごい洞察の言葉を語っています。

「新しい目を持たないで以前と同じ目のままで、それほど長い移動の旅をしても、

風景をいくらみたとしても、それは本当の旅の発見とはいえないということです」

「目」それ自身が変わらないと、本当に新しい世界は見えてこないんですね。

以前のままの目でみる珍しいもののリストが増えるだけで、

世界そのものがあたらしい眺めで立ちあらわれてくるということはありません。

『青虫は一度溶けて蝶になる 私・世界・人生のパラダイムシフト』

藤田 一照 (著), 桜井 肖典 (著), 小出 遥子 (著) 春秋社

 

「新しい目」とは何だろう。

それは、新しい意識だ。

新しい意識は「ショックと感動」によって引き出される眠っていた純粋なる感性だ。

かつて死の淵を彷徨った時、

毎日見る青空や太陽や流れる雲や夜空の星々を見ていているだけで涙が溢れて仕方がなかった。

生きているということが、ただそれだけでありがたくて、嬉しくて仕方がなかった。

今こうして生きているということが、当たり前のことなんかじゃ全然ないのだということが、

腹の底からわかったことは、私に新しい目を開けさせてくれたように思う。

 

 

純粋なる感性は、私の人生に大きな問いを投げかけてきた。

「あなたは誰か?」

「このまま死んでしまったとしたら、あなたは本当に自分の人生を生きた、生き切ったと思えるか?」

答えはNO!!だった。

じゃあ、「Yes!」は何なのか?

それが知りたかった。

自分の人生に「Yes!」と言える生き方とは何なのか?

私の中の本当のNo!と

本当のYes!を探す内なる旅が始まった。

本当のNo!がわからなければ、

本当のYes!がわかるはずもなかった。

内なる旅が始まるに連れて、外側の世界の感じ方も同時に変化していった。

その内なる純粋感性は、同時にこの世界、社会、この時代への大いなる問いかけをしてきた。

この美しい水の惑星「地球」が、人類がこのままの生活、価値観、生き方をしていたら滅亡の一途を辿るだけだということを知った時のショックは、世界を見る眼差しをさらに変えてくれた。

 

 

スイスを旅してしみじみ、大自然は最大のヒーラーだと今回の旅でも思った。

なぜ緑や水がこんなに人の心を癒してくれるのだろう。

青空や山や美しい湖や川がこんなんにも人の心を爽やかに心地よく満たしてくれるのだろう。

こんなにも美しいものを私たちは与えられているのに、

それを汚す、破壊するという行為をし続けていたらこの美しい星は一体どうなってしまうのか。

コンクリートジャングルの中にずっといると息をすることも苦しい、息が詰まるという感覚があることは、

人として生きていることの真っ当な感性なのだ。

この真っ当な感性が開花していないことが今のあらゆる問題を作り続けている根源にあるように思う。

 

 

大自然を旅した、あるいは大自然の中で暮らしたエッセイで私が最も好きなのは、

藤原新也の「全東洋街道」と星野道夫の数々のエッセイと写真集だ。

「ショックと感動」は、新しい目を自ずと開かせ、

その新しい目が創造の源と繋がり、表現に向かうのだと思う。

星野道夫さんの写真と言葉については、過去ブログに書いた。

星野道夫のいのちの言葉と写真

 

 

前回のブログにこの夏初めて行ったスイスについて書いた。

美しいスイスを旅して感じたこと

昔、「世界の車窓から」というテレビ番組が好きだった。

こんな風景が随所に見られ、いつかこんな旅をしてみたいと憧れた。

スイスは、今回まだほんの一部だけしか行っていない。

「世界の車窓から」のリアル版がここにあるということだけはわかった。

 

 

スイスはヨーロッパNo.1、はたまた世界No.1とも言われる鉄道網を誇る。

スイスは国土の7割が山岳地帯で、ほぼどこからでもスイスアルプスを望める。

登山の好きな人にはたまらない魅力があるところだろう。

私は山ガールではないので、登山の醍醐味を味わうという方向には行動が向かないが、

アルプスの山並みの美しさはため息が出るほどだ。

 

 

今回のスイスの旅の後半は、チューリッヒから、ジュネーブに向かった。

グループメンバーは皆鉄道でジュネーブまで移動したので、

再び「世界の車窓から」の感動の旅だったようだが、

私はキャンセルが効かない飛行機だったので、ジュネーブまでは飛行機でひとっ飛びだった。

至極残念。スイスに行ったら、ぜひ鉄道の旅を、だ。

 

 

チューリッヒはドイツ語圏だが、ジュネーブはフランス語圏だ。

ボンジュールの世界である。

スイスは、ドイツ、フランス、イタリア、オーストリアに隣接しているので、いくつもの言語が入り乱れている。

自然界は「多様性」が前提にある上での「独自性」の世界だ。

生命は多様性と開放系のシステムなのだ。

このことが今私達が生きている社会に求められているのだと思う。

 

 

ジュネーブではある日本人女性二人との出会いがあった。

お一人は、グループメンバーの妹さんで、外務省に勤めている方。

10代から国際問題に興味があり外務省に入られた。

ケニアで活動している時に同じ外務省で働く日本人男性と知り合い結婚。

赴任地がスイスになったったため今はジュネーブで暮らしながら、二人のお子さんを育ている。

海外での子育ては不安なことも多いが、ジュネーブは、子育てしている母親や働く女性に優しいとおっしゃっていた。

彼女にランチのお店やレマン湖畔でのディナーの素敵なお店を予約していただき会話を楽しんだ。

 

 

もう一人は、Facebookもやっていらっしゃる、Azusa Katoさん。

Azusaさんは、三重県出身でご主人がスイス人、お子さんが一人いらっしゃる。

SDGsに関心があり、とりわけ「食」と「教育」と「環境問題」にご関心が高く、

それに関連した活動をされている。

「SDGs」に関して書いた過去ブログ

誰ひとり置き去りにしない~What are the SDGs? ~

 

 

Azusaさんのご案内でなんと私たちはジュネーブにある国連の中を見学させていただけたのだ。

テレビでしか見たことがない
国連欧州本部(NATION UNIES)

ここに各国の代表が集まり、世界における、社会、環境、経済問題が語られ、

世界共通の意思決定、イニシアティブが宣言される場だ。

2015年国連サミットで採択された「SDGs」は、国連加盟193か国が、

「誰ひとり置き去りにしない」
(no one will be left behind)

を基本理念に2030年までに、

「17分野169項目」という多岐にわたる開発、行動目標を掲げた。

途上国だけでなく、先進国も「生産・消費のあり方」を変える必要があるなど、

人々のライフスタイルにまで踏み込んだ地球レベル、世界レベルでの果敢なる挑戦である。

この決定がここでされたのかと思って見てみると非常に感慨深いものがあった。

 

 

特に昨今は、人権、気候変動、情報セキュリティ、貧困問題、

ジェンダー問題、サスティナビリティに関わる議論が展開されている。

ここで日々、白熱の議論が行われているのかと思いながら会議室を見ていると、

世界は本当はひとつなのになぜこんな世界になってしまったのかという思いがこみ上げてくる。

テレビでは、外観や会議風景や会議場しか見たことがなかったが、

実際の国連の建物は中庭もとても美しく、平和な光景だった。

 

 

今回のブログの写真は、Azusaさんからお借りしたものも多い。

スイスは海がないが、写真のように湖がとてもきれいだ。

Azusaさんはぜひこれらの美しい湖も機会があれば全部見てみてくださいとおっしゃっていた。

スイスは森と湖が本当に美しく、何度も訪れたくなるという人が多いのは頷ける。

 

 

AzusaさんがFBで「bio c’est bon 」(ビオセボン)というスーパーマーケットを紹介されていた。

人気店でAzusaさんも好きなお店だそうだ。

食料品のパッケージには、プラスチックはもうほぼ存在しない。

果物、野菜、パスタ、お米、ナッツ、シリアルも全部計り売り。

飲み物は紙パックか瓶のボトル。

SDGsに対応した取り組みのお店だ。

 

 

フランスの「ビオセボン」は、2008年にパリで創業された、

ヨーロッパで100店舗以上を展開するビオ・ スーパーマーケットだ。

イオンは、このビオセボンと提携し、2016年12月、東京・麻布十番に1号店を出店している。

その後中目黒店を出し、次々に出店している。

私の周りでもこの店のファンはけっこういる。

今回、想定外で国際的に活躍している素敵な日本人女性お二人との出会いがあったのだが、とても触発されるものがいっぱいあった。

 

 

私は日本での仕事があり、早く帰ってきたために行くことができなかった、

オードリー・ヘップバーンが晩年を過ごした「モルジュ」(モージュとも言う)

という美しい街を仲間たちがFBにアップしていて羨ましかった。

日本に帰ったら早速「ティファニーで朝食を」を見ると書いていた人がいた。

私は、「ローマの休日」も合わせて見たいい。

今度スイスに行く機会があったら、私もぜひモルジュには行ってみたい。

 

スイスはどこの家の窓も花が美しく飾られていて道行く人の目を楽しませてくれる。

 

ユニセフ親善大使であったヘップバーンが晩年を過ごす街として選んだ「モルジュ」はどれほど素晴らしい環境だったのだろう。

 

 


 

2019年9月〜11月の活動予定

 

◆アドラー心理学のベストセラー作家であり企業研修講師であり心理カウンセラーである小倉宏さんと産業医であり心理カウンセラーの上谷実礼さんと岡部明美の三人のオープンカウンセリングの1Dayワークショップ。

「仕事の悩みが軽くなる!心にアプローチする1DAYワークショップ」

2019年9月21日(土)14:00~20:30

会場:亀戸文化センター

◆お申し込みはこちらから: お申し込みフォーム


◆群馬県・草津3Daysワークショップ

テーマは 人間関係・パートナーシップ・コミュニケーション。

〜親子、夫婦、恋人、友人、上司、部下、同僚、ビジネスパートナーとの関係性〜

人生の悩み、苦しみのほとんどは、人間関係によるものです。

このワークジョップでは自分を生かし、相手を活かし、幸せになるコミュニケーションを体験的に学ぶワークショップです。

◆お問い合わせ、お申し込み

群馬県・草津3Daysワークショップ


◆「ボス型マネジメントからの脱却、ミッション経営の切り札1on1実践ワークショップ」

小倉広&岡部明美&上谷実礼

2019年11月29日(金)~12月1日(日)

湯河原リトリートご縁の杜

◆お問い合わせ、お申し込み

神奈川県・湯河原3dayワークショップ

岡部明美公式サイト

 

「ワークショップ」「個人セッション」「LPL養成講座」の情報はこちらをご覧ください。

http://www.okabeakemi.com

 


書籍&CDのお知らせ

 

『私に帰る旅』
(学芸みらい社)


角川学芸出版から刊行された本書が、
装幀も新たに学芸みらい社から刊行されました。
Amazonで購入できます
全国の書店でもご注文できます

『約束された道』
(学芸みらい社)


2017年6月刊行と同時に増刷。
2018年4月第3刷決定。
Amazonで購入できます
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『もどっておいで私の元気!』
( 善文社)


1996年5月刊行から22年間のロングセラー。第12刷。
Amazonで購入できます
全国の書店でもご注文できます

 

『いのちの花』
(CD)


¥2,000
CDは講演会、ワークショップ等で販売しています。必要な方は、Facebookのメッセンジャーにご連絡下さい。

 

 

 

投稿者プロフィール

岡部明美
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心理カウンセラー、セラピスト、研修講師、作家、東海ホリスティック医学振興会顧問
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