昨日までのことはみんないいんだよ

昨日までのことはみんないいんだよ

でも、それだけはダメだよ

昨日までのことは、みんないいんだ。

「おれ、窃盗やってた」

「いいんだよ」

「わたし、援助交際やってた」

「いいんだよ」

「オレ、いじめやってた」

「いいんだよ」

「わたし、シンナーやってた」

「いいんだよ」

「わたし、リストカットやってた」

「いいんだよ」

「わたし、家に引きこもってた」

「いいんだよ」

昨日までのことは、みんな

「いいんだよ」

「おれ、死にたい」

「わたし、死にたい」

「でも、それだけは、ダメだよ」

「生きるんだよ」

 

 

暖かい家庭を知らない子どもたち

深夜の繁華街にたむろする不良と呼ばれる子たちは等しく、暖かい家庭を知らない。

大人達の勝手な都合で不幸を強いられた子どもたち。

生きることに絶望し、死にたいという子たちに、

「昨日までのことは、みんないいんだ」

「生きるんだよ」

と13年間、5千人の子どもたちに言い続けた夜回り先生。

『夜回り先生』(水谷修著、サンクチュアリ出版)

 

 

苦しみを聴いてくれる人がいれば

そばにいて、苦しみを聴いてくれる人がいれば、

どんなに苦しいことがあっても、何とか生きていたいと思う。

人間は、それほどまでに自分が必要とされ、愛され、

自分の人生に意味があることを確かめたいものなのです」

チャプレンでありカウンセラーである沼野尚美さんが、ホスピスの患者さんからたくさんのことを学ばれ、看護、介護、看取り、援助職の本質について語る本。

「癒されて旅立ちたい」(沼野尚美、佼成出版)

 

 

変えることができないもの、変えることができること

神さま、変えることのできないものについては、それを受け入れるだけの心の落ち着きを

変えることができるものについては、それを変えるだけの勇気を

そして、変えることのできるものと、できないものとを見分ける知恵をください。

 

一昨年、牧口望さん(前大阪保険サービス社長。現みつわ保険サービス(株)会長)から、

「This is My Life」という自伝が贈られて来た。

以前、私の講演会を大阪で主催してくださった牧口さん。

この本は、ふつうの社史とは違い、まさに本のタイトル通り、牧口さんの人生を支えて、励ましてくれた人、講話、本、言葉、音楽がたくさん紹介されている。

 

何も心配することはない

敬虔なクリスチャンであったお父様の会社を継いだ牧口さんだったが、いつもお父様に言われていた言葉がある。

「神さまは、必要な時に、必要なものを、必要なだけ与えてくださる。何も心配することはない。こちらの勝手で売り上げ目標なんか持つものではない。どうすれば神さまのみ心に叶うのかを考えて仕事をしなさい」

しかし、お父様の会社を継いで社長になった牧口さんはどうしたら保険が売れるのか必死になって考え、頑張れるだけ、頑張り続けた。「売る」ための努力は考えうる限りやった。

しかし、何年かたって、牧口さんは、やっと「売ろう!」とすることが間違いだったと悟る。

「商いは、売り手と買い手の気持ちが天秤のように釣り合って初めて成立するものなのだ」

と言っていたお父様の言葉の意味が腑に落ちるまで長い歳月が必要だったと言う。

 

「書く人」がいて、「読んでくれる人」がいて

この本のページをめくっていたら、突然、私の「もどっておいで私の元気!」(善文社)の中の、

「降りる」の文章が紹介されていてびっくりした。

そういえば、牧口さんは、私の本を読んだことがきっかけで講演会を主催してくださったことを思い出した。

本を出すことの一つの喜びは、

読んでくださった方との新しい出会いがあることだ。

その本がなかったら一生出会うこともなかったであろう人との出会いはとてもありがたく嬉しい。

 

 

「降りる」

ありのままの自分を認めるよりも、「こうありたい自分」に向かって生きてきたから、

現実と理想の挾間でいつも緊張し、自己嫌悪に苛まれてばかりいた。

「こうありたい自分」が、いつの間にか、現実の自分を許せず、

「こうあるべき」「こうしなければ」「こうあってはダメ」と厳しい物差しで、自分を裁くようになっていた。

ノーテンキでおめでたいところがいっぱいある一方で、裁判官のような自分もいた。

グータラで、なまけもののくせに、上昇志向が強く、勉強家で勤勉な自分もいた。

後者の自分が強くなりだしてから、いつも何かに追いかけられている感じがしていた。

自分に出会う旅に出てみて、ふと気がつくと私はいろんなものから降りていた。

昇ろうとしていた人生から降りたら、そこには、自分の心とからだに丁寧につきあっている人たちがいた。

「もっと楽に生きていいんだよ」

「そのままでいいんだよ」と、

その人たちは、静かに語った。

楽に生きられずに苦しんで生きてきた人たちが、今、自分の中の本当の声に耳を傾けていた。

ありのままの自分を受け入れようと歩き出した人たちの静かな気配は、私にとって新鮮で居心地のいいものだった。

この道を歩いていったら、きっと自分を取り戻せるという確かなものを感じていた。

『もどっておいで私の元気!』(岡部明美著/善文社)より

 

この「降りる」の言葉が降りてきたのは、23年前だ。

私は「降りたい!」と思ったのだった。

自分の価値を存在証明するために頑張り続ける人生から。

人と比較して、自分の価値を測る人生から。

自分の不足と不満、不安と欠乏感を埋めるように何かをゲットしに行く人生から。

「降りる」という言葉に、「ドロップアウト」することや「アウトロー」になること、

「負けること」や「ゆるくなり過ぎる」ことや「無責任になる」ようなイメージを持つ人がいるが、それは違う。

「降りる」とは、幸せの物差しや、

生きることの歓びが、違う次元にシフトすることであり、

自分の在り方、生き方がより自然体になっていくことなのだ。

自分の心の最も深いところーそれを魂の声と言ってもいいが、

その声に従って生きていくということ

社会や世間、親や他人が自分に期待することや、

時に押し付け(られているように感じる)正しさの価値観をしなやかな強さで跳ね返す勇気

自分の歓びから生きることを自分に許可し、誰よりも自分の人生を応援する者であること

そして、自分(個)を超えた大きな存在ーそれを宇宙の意志と言ってもいいし、

天の計らいと言ってもいいがーそれが人生に起こすことに抵抗せずに身を任せてみること

たとえ、その起きていること、起きてくることが、

渦中では、とんでもなく受け入れられないことであっても(ジタバタします、当然。それさえもOK)

そのプロセスが運んでくれる地平があることを信じられることなのだ。

23年前に書いた「降りる」

あれは、今から思うと

「サレンダー」(明け渡し)への序章だったのだ。

あれから多くの時間が流れ、

「降りる」から始まった人生の豊かさを今感じている。

「降りる」は、「豊かさ」の定義まで変えてくれた。

豊かさの定義が変わったことについてはまた機会があればいつか。

 


岡部明美ワークショップのお知らせ

 

◆「ボス型マネジメントからの脱却、ミッション経営の切り札1on1実践ワークショップ」

岡部明美&小倉広&上谷美礼

2019年11月29日(金)~12月1日(日)

湯河原リトリートご縁の杜

◆お問い合わせ、お申し込み

神奈川県・湯河原3dayワークショップ

 

岡部明美公式サイト

 

「ワークショップ」「個人セッション」「LPL養成講座」の情報はこちらをご覧ください。

http://www.okabeakemi.com

 


書籍&CDのお知らせ

 

『私に帰る旅』
(学芸みらい社)


角川学芸出版から刊行された本書が、
装幀も新たに学芸みらい社から刊行されました。
Amazonで購入できます
全国の書店でもご注文できます

『約束された道』
(学芸みらい社)


2017年6月刊行と同時に増刷。
2018年4月第3刷決定。
Amazonで購入できます
全国の書店でもご注文できます

 

『もどっておいで私の元気!』
( 善文社)


1996年5月刊行から22年間のロングセラー。第12刷。
Amazonで購入できます
全国の書店でもご注文できます

 

『いのちの花』
(CD)


¥2,000
CDは講演会、ワークショップ等で販売しています。必要な方は、Facebookのメッセンジャーにご連絡下さい。

投稿者プロフィール

岡部明美
岡部明美
心理カウンセラー、セラピスト、研修講師、作家、東海ホリスティック医学振興会顧問
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