お墓までが「風の時代」の価値観を映し出している!

お墓までが「風の時代」の価値観を映し出している!

「こんなに遠くて辺鄙な場所にあるお墓じゃ、あんたは来てくれても、孫やひ孫達は来てくれないよね。それは寂しいわ」

と母は生前言っていた。

それを聞いて、私はお墓を引っ越すことに決めた。

「お母さん、どんな場所にどんなお墓だったらいい?」

と聞いたら「横浜の外人墓地みたいな開放的で明るい感じがいい。日本の墓地ってなんか陰気くさくて好きじゃない」

と母が言うのでいろいろ調べていたら森の中のきれいな公園墓地がわりと近くに見つかった。

 

オシャレなお墓がいい

母は○○家の墓という縦長の墓じゃなくて、外人墓地のようにメッセージが書いてある横型の墓の方がオシャレで好きと言う。

「どんなメッセージが書いてあるといいの?」と聞くと、

「私もお父さんももう口は聞けないわけだから、“逢いに来てくれてありがとう”と逢いに来てくれたあんた達に気持ちを伝えたい」

というので母の生前、メッセージが彫ってある横型の新しいお墓を建てたのだった。

叔母も母がいなくなると肉親が誰もいなくなるので、叔母の名前も一緒に彫った。

 

思い出は永遠に

この公園墓地の3分の2は、メッセージ付きの横型のお墓なのだが、あるお墓の前で足が止まった。

目が釘付けになった。

「このお墓は、結婚後すぐに事故で御主人を亡くされた奥様が建てられたものです」

と墓地の管理人の方が教えてくれた。

「大好き。出逢えた奇跡に感謝。思い出は永遠に。来世でもまた」

というメッセージが墓石に彫られ、ご夫婦でオートバイに乗っている写真が石に転写されている。切ない。

本の形をしたこのお墓を見て、他人ながら、このお墓を建てた奥様が、

どれほど夫を愛していたのかがいっぱい伝わってきて胸が熱くなった。

お墓もこれまでのように「家」「血族」の墓が常識、当たり前から、

「個」「関係性」「多様性」「心」「絆」というものが反映され始めていることを

この墓地のそれぞれのメッセージが刻んであるお墓を見て思った。

「地の時代」」から「風の時代」への価値観の変化はお墓や墓地のデザインにまで現れている。

参考:過去ブログ
「地の時代」から「風の時代」って何? 〜自我(エゴ)に支配された社会から、愛に基づく社会、霊性を高めていく社会へ〜

 

逢いに来てくれてありがとう

母の四十九日の法要を母の望んだ通りのデザインのお墓でできたことはよかった。

今頃はもう先に逝った夫や息子や親兄弟に会って賑やかにしていることだろう。

人が好きで、賑やかなことが好きな母だったから。

「逢いに来てくれてありがとう」

という母のあの明るい声が聴こえてくるようだった。

お墓にこの文字が刻んであることで、

「彼岸」と「此岸」がひとつにつながっているように思えた。

 

親より先に死ぬバカがどこにいる!

そして昨日、弟のお墓参りに行ってきた。

もういなくなってから10年もたつのか。

突然死だったので残された家族はパニックになったのだった、あの時には。

母は「親より先に死ぬバカがどこにいる!この親不孝者!」

と怒りながら、嘆きながら、来る日も来る日も泣き続けていた。

私だって「順番が違うでしょうが!私は姉ちゃんだよ。私が先でしょうが!」と思ったし。

突然死だったけれど何かシグナルが出ていなかったのか、

そのシグナルに気づいてあげれなかったんじゃないかとずいぶん悔やんだ。

 

無声慟哭・永訣の朝

清水友邦さんとのライブトーク③で、宮沢賢治が自分の最大の理解者であった妹トシ(享年24歳)を突然失った深い悲しみを賢治は詩集

『春と修羅』の中で、無声慟哭「永訣の朝」という詩で表していることを清水友邦さんとのこの対談の中で私は話している。

16歳でまだ誰も身近な人間を失ったことなどない若き日の私が、

この『春と修羅』という詩集を高校生の時に泣きじゃくりながら読んだのだ。

まさに大切な家族を突然失った悲しみは「慟哭」という言葉以外に表しようがない想いだと思う。

お墓参りをした後、親族とその後食事しながら、

「でも本人は何も苦しまず、夜中に突然心臓が止まって逝ったのだから、もしかしたら幸せな最期だったのかもしれないね」と言う話になった。

起きた事実は「弟の突然死」だったけれど、

その「事実」に対する「受け止め方」は、

時の経過と共に自然に変わっていることを感じた。

 

さよなら

小学校時代の弟は、今でいったら「発達障害」と診断されるであろう子だった。学校では特殊学級に入れられていた。

確かに弟は勉強は出来なかったし、人とのコミュニケーションは不器用だったけれど、

純粋で心根の優しい弟で、いったい何をもって「特殊」「障害」などと言うのだろうと思う。

大人になってからは、社会に適合するために必死に努力し、仕事もものすごく頑張っていたけれど。

両親は私に別離の覚悟をする準備の時間をくれたけれど、

弟の死は、あの時の私にとってはまさに慟哭だった。

弟のお墓参りは、母が生前、「こんなお墓がいい!」と言ったことで新しく建てた墓では初めてだった。

母の理想のお墓は正解だった。

弟の声で「姉ちゃん、逢いに来てくれてありがとう!」

と確かに聴こえるかのようだったのだ。

カラオケに一緒に行くと弟が必ず唄う歌は、オフコースの「さよなら」だった。

弟の優しさと切なさが入り混じったような歌声がとても懐かしい。

人は死んで、誰かの心の中で永遠に生き続ける。

 

文中に書いた清水友邦さん(イーハトーブ心身統合研究所所長)とのライブトーク③が

【YouTubeあけみちゃんねる】にアップされました。

岩手県、花巻市にある宮沢賢治の展示館である「猫の事務所」で対談したものです。

岡部明美 第6回ライブトーク ゲスト清水友邦さん(イーハトーブ心身統合研究所所長/『覚醒の真実』『よみがえる女神』著者)/ロケ編3猫の事務所

 

 


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岡部明美
岡部明美
心理カウンセラー、セラピスト、研修講師、作家、東海ホリスティック医学振興会顧問
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