この会社で、この仕事で、この仲間たちでよかった。

この会社で、この仕事で、この仲間たちでよかった。

 

男たちがみんな疲れ切っている

最近、経営者の方や男性ビジネスマンの鬱が非常に増えている。

ビジネス社会がまるで戦場のようになって久しい。

男たちがみんな疲れ切っている。みんな傷ついた戦士なのだ。

心にいっぱい傷を負って、その生傷からはドクドクと血が吹き出しているというのに、

なんの手当てもせずに日々戦場に向かっているのだ。

泣きたい夜だってあるはずなのに。

「降りられない男たち」「立ち止まることのできない男たち」のしんどさは、

かつて企業戦士として過労死寸前までいった私にはとてもよくわかる。

働く女たちもまたビジネス社会の中で、思考が男性化し、女性性が深く傷ついている人が多い。

 

なんのためにこの会社をやっているのか?

男社会と言われてきたビジネス社会がもう制度疲労を起こしている。

経営者もそこで働く社員も、幸せを感じていない会社がいっぱいある。

働くことと幸せがつながっていない会社。

働くことに歓びを感じられない会社。

働くことが苦役のようになり、我慢大会でもやっているかのような会社。

終わりなき達成ゲームの中で本当はもう精神的に限界を感じている人がいっぱいいる。

経営者も、社員も、もうこれ以上どう頑張ればいいのだと叫びたいくらい、

それぞれが限界まで頑張っているというのに。

なんのために働いているのか?

なんのために会社やってるのか?

仕事って何?

幸せって何?

豊かさって何?

なぜ今自分はここでこうして働いているのだろう?

誰もがこの本質的な問いを、

自らの内に抱かざるをえない時代になっているように思う。

 

経営者は孤独なものだ。

私がやっているLPL養成講座に7、8年前くらいから経営者さんの受講が急に増えはじめた。

受講される経営者さんたちの多くが語る言葉がある。

「経営者は孤独なものだ。たしかにそう思うが、経営者とはそういうものなのだとも教わってもきた。でも、孤独で幸せでないリーダーの下で働いている社員は、幸せは感じられないよね?」

「経営者は従業員の100倍働け!と学んだから死ぬほど働いてきたけど、心の中では、俺もこんだけ頑張ってるんだから、お前らももっと働けよ!と思ってプレッシャーをかけ続けてきた」

「学んでも学んでもなぜこんなに不安なのだろう?」

「学べば学ぶほど社員と心の距離が大きくなってつながれないのはなぜなんだろう?」

「成功したのに幸せじゃない」

「目標が達成されて一瞬はやった!と思うんだけど、またすぐ次の山こさえて頑張る。いつになったら心が満たされて平安になるのだろう?」

「ふと、なんで自分はこんなに寂しいんだろうと思う時がある。でもすぐさま、甘ったれてんじゃねえよ!という頭の声が聴こえてくる」

このような声を多くの経営者さんたちから聞いてきた。

この心の声が聴こえてきたら、もう新しいステージに行こうとしているということなのだと思う。

 

ここは自分の居場所だ。

多くの経営者さんたちの苦悩に触れて思うことがある。

長く続いてきた男性社会の古い価値観が今音をたてて崩れ始めているのだということを。

経営の真の目的、働くことや働き方の新しい価値、お金の新しい価値観、

画一的なリーダーシップ像から多様性のあるリーダーシップ像へ。

ビジネス社会の旧パラダイムそのものが、もはや誰も幸せにしていないのだなと感じる。

心理学者のアドラーは、組織に必要なのは「共同体感覚」なのだと言う。

共同体感覚とは、

・ここは自分の居場所だと感じられること

・周りのみんなは仲間だと感じられること

・自分は役に立っている、貢献できていると感じられること

・自分は必要とされていると感じられること

会社、組織、ビジネスに愛なんか関係ないと思っている経営者が多いが、

組織の問題のほとんどは対人関係の問題なのだ。

対人関係とはすなわち「対話」ができる真のコミュニケーションができているかということであり、

コミュニケーションは全て愛の学びなのだ。

 

組織、ビジネスにこそ愛が必要

大きな壁にぶつかっている人、行き詰っている人、デッドゾーンにぶち当たっている人というのは、

全く新しいステージに移行しようとしている人達であり

新しいパラダイムを創る人達であり、

この時代を一歩前に進める人たちなのだ。

その萌芽には、仕事や会社というものの存在意義の8つの新しい視点があると私は思っている。

1)経営者自身が、自らの「人生の目的」から、会社 、仕事の社会的な意味と価値を問う視点。

2)社会の問題を解決していくためのビジネスという視点。

3)より良い世界を作るために自社のビジネスがどのように世界に貢献できるかのかという視点。

4)互敬・互恵、相互補完期(真実のパートナーシップ)のステージを生きる、成熟した自己、リーダーの在り方、生き方という視点。

5)組織は生きている「生命場」であるという視点。

6)会社、組織、ビジネスが違えど、これからは、「共感・信頼・つながり・分かち合い・共同創造」の視点が不可欠になるという視点。

6)経営者には心理学や哲学や自己探求が今後はより求められる時代になるという視点。

7)人は、愛によって育ち、愛によって喜びを感じ、愛によってやる気が内側から溢れてくる存在なのだという視点。

8)愛はつながる力、愛は互いを生かし合う力、

愛は、考え方や価値観が違う人とも、共に生きていける力なのだという視点。

 

働く人たちが共に幸せになっていける場

組織の問題の殆どは人間関係の問題なのだから、

組織、ビジネスに愛なんて関係ないなんて全く持って御門違いなのだ。

働く人たちが共に幸せに生きていける場になっているだろうか?

チームで働くことの喜びがある会社だろうか?

自分たちの仕事に意味と価値を見出して働ける場だろうか?

働いている一人ひとりが、上司から、仲間から、

尊重され、必要とされ、承認され、

ここが自分の居場所だと感じて働く場になっているだろうか?

これらが全く満たされていないような会社の場合、

人は去っていくであろうし、

そもそもこれから時代は、上記のような会社でない場合は、

「もう、組織に属した働き方はいいや」

と、会社員人生そのものから「降りる」人が増えていくだろう。

 

本質的な変革のキーワード・「Teal組織」「SDGs」

『Teal組織』(フレデリック・ラルー著 英治出版)というこんな分厚い本が5万部も売れているという事実に驚く。

個人の発達心理学と組織の発達心理学をリンクさせた、このような本が脚光を浴びていること自体、

現代は組織の構造原理の変革の時代であることが分かる。

この本を読んだ時、著者は、トランスパーソナル心理学の論客であり、アメリカの「知の巨人」の一人であるケン・ウイルバーに大きな影響を受けていることを感じられた。

 

 

ケン・ウイルバーの『インテグラル理論』(日本能率協会マネジメントセンター 』『無境界』(平河出版社)『アートマンプロジェクト』(春秋社)を彷彿させる視点が随所に感じられた。

私がこれまで、「多層成熟組織」「オーケストラ形組織」

という言葉で語ってきた内容が、表現こそ違えど、構造的パラダイム・シフトとして実に明晰に語られている。

 

新しい地平を見ている組織、ビジネス論

この本自体は分厚いし、トランスパーソナル心理学の視点が濃厚なので、

心理学をあまり学んできていない人には読みずらいかもしれない。

 

 

私的には、『実存的変容』(天外伺朗著 内外出版社)や、『ハートドリブン』(塩田元規著 幻冬舎)や『パズルの法則』(ひすいこたろう著 大和書房)に新しい時代の意識を感じている。

感性が主軸になっているところに共鳴する。

「感性が自分を目的地まで導いてくれる」

一方、最近、注目されているのが、

持続可能性社会を真っ向から見据えた「SDGs」だ。

これからの企業活動に必須の概念であり、取り組むべき課題だ。

誰ひとり置き去りにしない〜What are the SDGs? 〜

本来の日本はサスティナブルな社会だった

私が、LPL養成講座で取り組む個人の意識の成長、進化論と

この本の中の組織の成長、進化論はシンクロしている。

組織論にトランスパーソナル心理学の論客である、ケン・ウイルバーが登場していること自体に実に隔世の感がある。

初期の頃は、カウンセラー、セラピスト養成講座だったものが、

14年の経過の内に受講生さんのプロフィールも講座へのニーズも変化してきたために講座自体が絶え間なく進化し続けている。

今やあらゆる職種や立場にいる方々が来てくださる。

主婦の方、対人援助職をしている方、それを目指す方、多種多様な職種の方々、ビジネスマン、経営者も共に学ぶ講座というのはなかなかないと思う。

2020年5月から始まる予定だった14期LPL養成講座は、

新型コロナウイルスの感染状況が日に日に厳しくなってきたため、

来年の5月に延期することになった。

1年後だというのに14期受講予定の皆さんにその旨お知らせしたところ一人もキャンセルがなく、

残念ですが首を長くして待っていますというお返事をいただき嬉しく、そしてありがたかった。

現在HPに掲載している14期LPLは、来年の日程と会場が決まり次第掲載いたします。

14期LPL養成講座の詳細はこちら

 


岡部明美公式サイト

 

「ワークショップ」「個人セッション」「LPL養成講座」の情報はこちらをご覧ください。

http://www.okabeakemi.com

 


書籍&CDのお知らせ

 

『私に帰る旅』
(学芸みらい社)


角川学芸出版から刊行された本書が、
装幀も新たに学芸みらい社から刊行されました。
Amazonで購入できます
全国の書店でもご注文できます

『約束された道』
(学芸みらい社)


2017年6月刊行と同時に増刷。
2018年4月第3刷決定。
Amazonで購入できます
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『もどっておいで私の元気!』
( 善文社)


1996年5月刊行から22年間のロングセラー。第12刷。
Amazonで購入できます
全国の書店でもご注文できます

 

『いのちの花』
(CD)


¥2,000
CDは講演会、ワークショップ等で販売しています。必要な方は、Facebookのメッセンジャーにご連絡下さい。

 

投稿者プロフィール

岡部明美
岡部明美
心理カウンセラー、セラピスト、研修講師、作家、東海ホリスティック医学振興会顧問
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