永遠の旅の途上

永遠の旅の途上

 

こころざし半ばにして倒れても

結果が、最初の思惑通りにならなくても、そこで過ごした時間は確実に存在する。

生きる者と死す者。有機物と無機物。その境とは一体どこにあるのだろう。

脆さの中で私たちは生きているということ。

言い換えれば、ある限界の中で人は生かされているのだということを、ともすると忘れがちのように思います。

人は生きているかぎり、夢に向かって進んでいく。

夢は完成することはない。

しかし、こころざし半ばにして倒れても、もしそのときまで全力をつくして走り切ったならば、

その人の一生は完結しうるのではないだろうか。

『Michio’s Northern Dreams (2) ラブ・ストーリー』(星野道夫著 PHP文庫)より

 

 

共に過ごしたかけがえのない時間

また一人大切な仲間が光の世界に旅立った。

想像だにしていなかった人の突然の訃報に、一瞬耳を疑い、

「うそでしょ!?」

と思った。ほんとうに。

頭が真っ白になり、途方にくれた。

動揺した。寂しさや悲しみが吹き出してきた。動けなくなった。

親しい人が亡くなる度に何度も何度も味わった感情なのに、

やはり私は人の死に慣れることができない。

魂は永遠であっても、やはりもう二度とあのあの笑顔に会えないのだと思うとたまらなく寂しい。

この20年、多くの人を見送ってきた。

父、弟、義父、義母。

そして、学びの仲間の7人。

長く生きるということは、それだけ別れも多くなるということだ。

旅立った後のその人の「生の残像」「存在の余韻」は、

共に過ごしたかけがえのない時間の分だけ思い出が鮮やかに色づく。

存在の深いレベルでつながっていた人の喪失は、時を止めてしまう。

家族や友人以外にそんな深いつながりを仕事で作ってきた人生なのだが、

やはり私はそういう、人と人が魂レベルで出会い、繋がれる場を作りたいと思ってきた。

一人ひとりが自分の魂の目的を発見できるような場を作りたかった。

たとえそれが逆説的に大きな喪失の悲しみを伴う場になったとしても。

 

悔いが残るのは

友人や仲間の喪失は、楽しかった思い出があったからこそ、悲しみがこみあげてくるが、

家族の場合は、それだけでは済まない。

どうしても悔いは残るものだ。

どうしてもっと早く気がついてあげられなかったのだろう。

もっと他に方法はなかったのだろうか。

あれで良かったのだろうか。

もっと自分にできることはなかったのだろうか。

幸せな人生だったのだろうか。

突然死した弟に対して私はたくさんの悔いが残った。

半年くらい立ち上がれなかった。

悔いもまた愛なのだと思えるようになるまで時間が必要だった。

こんなに悔いが残るくらい弟のことが大好きだったんだっていう自分の気持ちに驚いた。

 

 12月8日、LPLのスタッフ炭屋由美子さん逝去

一緒に笑い、一緒に泣き、一緒にご飯を食べたこと

そばにいるのが当たり前のように思ってきた身近な人が亡くなると人は驚くのではないだろうか。

こんなに自分にとって大きな存在だったのかと、、、

何気ない日常の中で、どれだけのものを自分がその人からもらっていたのかに失って初めて気づく。

その人が傍にいたということ

一緒に暮らしたこと

一緒に生きたということ

一緒にご飯を食べたり、飲んだりしたこと

一緒に笑いあったこと

一緒に泣いたこと

一緒に遊んだこと

一緒に学んだこと

一緒に仕事をしたこと

時に争い、わかりあえない悔しさや悲しみに相手の存在を否定した日があったとしても、

それさえもそれだけ深いつながりがあったからこそ。

ただ家族であったということ

ただ友だちであったということ

ただ一緒に仕事ができたということ

ただたくさんの時間を共に過ごしたこと

本当は、日常の中にあった、なんでもないような日々が、

ただそれだけで充分幸せで、満たされていたのだということに、失って初めて気づくなんて。

 

あなたには時間があるでしょう?

今こうして生きている人たちは、

亡くなっていった人が一番ほしかった、

「生きる時間」をもっている。

生は、死者の夢の残滓。

時間は死者からの贈り物。

きっと死者たちは、自分が残してきた大切な人たちに、

こんなことを言っているような気がする。

「あなたには時間があるでしょ。なんでもできるはずだよ。あなたが望む人生を、あなたが生きたい人生を生きて」

「自分が心の底からやりたいことをやって生きていってほしい。もっと人生を楽しんでね」

「たくさん感動して、たくさん味わって、たくさん愛して、幸せになってほしい」

「時間があるということを大切にしないと、人生は、本当に、あっという間に終わってしまうよ」

きっと、死者は、遠い空から、風になり、花になり、雪になり、光になって、

いつでも、どんな時でも、残してきた一人ひとりに愛を送っているのだろう。

残された人たちが時の流れの中で次第に記憶が薄れ、

逝ってしまった人のことを忘れている時であってさえも、

死者は、片時だって残してきた人たちのことを忘れることはないのだ。

 

この世の美と感動は

地上の人生ーこのからだに住まう人生の、

なんという短かさ、儚さ。

この宇宙の歴史からいったら、人の人生なんて一瞬の瞬き程度の長さだ。

本当にこの世は夢幻だ。

でも、儚さゆえに立ち表れる一瞬の美がある。

煙く朝露も、水平線から昇る太陽も、虹の七色も、

すべては一瞬の美しさ、束の間の美だ。

朝に咲いていた美しい花は、夕方にはしおれる。

しおれない花、造花には本当に深い美はない。

桜が枯れずに一年中咲いていたら、きっとあの感動は薄まっていくだろうし、

春が来たことのあの喜びもなくなってしまうのだ。

もし虹やオーロラが、どこでも毎日のように見られたとしたら、

人は、あの”光の芸術” を見た瞬間にあんなに感動するだろうか。

終わるから、消えるから、束の間、刹那だからこそ美があり、感動があるのだ。

この世の美と感動は、変化と消滅の上に成り立っているのだ。

私は最近、自然は最大の芸術であり、最も神聖なるもの、

スピリチュアルなものだと思うようになってきた。

そして、私たちもこの宇宙=大自然の一部なのだから、

同じように一人ひとりの人生というのは、

宇宙の神秘と神聖さによって彩られた瞬間の芸術なのではないだろうかと思えるのだ。

 

人生を刹那として見てみる

そんな風にして、肉体をもったこの人生を刹那として見てみると、

今こうして生きていられることや、

大好きと思える人や仕事に出会えたことが、

ただそれだけで本当に有り難く思える。

そして、幸せというものが、

この一瞬一瞬にしかないのだとわかれば、

悲しみを分かち合い、感動を分かち合っている瞬間というのが、

なんとも贅沢な時間に思えてくるのだ。

 

 生の儚さを噛みしめる

人はみな死を恐れるけれど、この肉体でもし200年生きなければならなかったら拷問ではないだろうか。

赤ちゃん時代のあの柔らかな肌も、

青春の輝きも切なさも、

生の痛みも悲しみも充実も、

みんないつかは消えてゆくのだ。

けなげに夢を追いかけ、幸せを求めて一生懸命に生きてきた人生と共に。

おそらく人は、生きとし生けるものの

“生の儚さ”を本当に噛みしめた時に

かけがえのない自分の人生を大切に生きようと思うのだろう。

そして、自分と同様、いつかは消えゆく運命にある他者への、

許しや慈しみがあふれてくるのかもしれない。

 

 世界は光に溢れている

死と対峙することは、生を最も変容させる。

誰もがいつかこの肉体を去る日が訪れるのだから。

もし明日この肉体を去るとわかったら、

人は人生最後の日である今日という日を、

自分や人を否定したり、責めたり、裁いたり、誰かを憎み、誰かの悪口を言い、

愚痴や不平不満をこぼし、未来への不安や、過去を悔いることに使うだろうか。

明日は誰にも保証されていないのだ。

自分の生を本当に輝きに満ちたものにするためには、逃げずに、ごまかさずに、

自分の死、この肉体での人生が終わる日が必ず来るという事実に直面することだと思う。

きっとその瞬間、世界が違って見える。

見るものすべてが光にあふれていることを発見するだろう。

世界は、こんなにも光に満ちていたのだということに気づくだろう。

そして生命は光そのものであることを悟り、

生まれることも、死ぬこともない永遠のいのちが、

今生はこの肉体を持って様々なことを体験しにやってきたことがわかるだろう。

 

 

 


 

 

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投稿者プロフィール

岡部明美
岡部明美
心理カウンセラー、セラピスト、研修講師、作家、東海ホリスティック医学振興会顧問
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