私のいのちを励ましてくれる、より大きないのちの源からの声

私のいのちを励ましてくれる、より大きないのちの源からの声

 

私のいのちを励ましてくれる、より大きないのちの源からの声。

それに耳を澄まし、そのかすかな大気のそよぎに共振するように、

私のいのちは少しずつ華やぎを増してくれる。

癒しようもないほどに病んだ肉体とは裏腹に、

今を必死に生きようとしている私のいのちの感触を、

心の奥に探りあてる。

 

 

生命科学者であり、35年もの長きに渡る難病で苦しまれた作家、

柳澤桂子さんは、ベストセラー『生きて死ぬ智慧』般若心経訳で有名ですが、

上記の文章は、柳澤さんの『いのちの日記』(小学館)のプロローグにあった文章で、

「ああ、私、この感じすごくわかるなあ」と思って、共感しながら読ませて頂いたのです。

 

 

柳沢さんは、難病に苦しむ過程の中で、次第に短歌を詠むようになりました。

その短歌がとても心に響く言葉ばかりなのです。

死に対峙せざる得ない状況に立たされた人間は、生命の本質に否が応でも向きあうようになるものです。

生命の本質が見えてくるにつれ、いらないものが、自分の中からどんどんそぎ落とされ大切なものだけが残るのだと思います。

短歌や俳句という、一切の無駄をはぶいた短い言語表現にはそのような生の背景があるのでしょう。

短歌、俳句、詩は、文字の行間、余白、空白にいのちがたゆとうように息づいています。

まさに空なる世界がそこにあるかのようです。

 

 

柳澤さんは、理数系に強く、遺伝子研究の科学者として活躍されていた方ですから、

もとより短歌などには縁のない人生だったそうです。

でも、原因不明の難病が何をやっても癒されず、

いよいよ彼岸に渡るかもしれないという状況に立たされた頃から、

あの“五七五七七”の短歌の独特のリズム、形式、四季感で言葉が溢れ出るようになってきたのだそうです。

その感覚はすごくわかるなあって思いました。

意識が変わると文体が自然に変わっていくのでしょう。

文体とは、その人の在り方、生き方そのものだからです。

柳澤さんの創られたどの短歌を読んでも、

本当にいのちの深みから溢れてきた言葉であることがわかります。

 

 

うぐいすの 初音したたる この星に 許されて在り この春もまた

逝くことを 受け容れて待つ 樹々の葉を 秋の光が 温めており

冬樹々の なかでいのちは 立っている 眠れば死ぬと 思うがごとく

飛ぶものも 動かぬものも 這うものも 秋立つ庭に ともに息づく

裏切らぬ ただ一つこの 世にありて 椿の照り葉は 彼岸を照らす

アヴェ・マリア 声清らかに 澄み透り 流れる調べは うつつをすすぐ

大空の 縮みゆくほど 寒い日は 火を燃やそうよ ホモ・サピエンス

『文藝別冊 柳澤桂子 ~生命科学者からのおくりもの~』(川出書房新社)

 

声に出して何度もこれらの短歌を詠んでいると静かな涙が流れてきます。

柳澤さんの本にはそういう言葉がたくさんあります。

死を深く見つめる眼差しの奥には、

生の本当の輝きを照射する眼差しもまた共にあることに気づかされます。

柳澤さんの創る短歌は、彼岸の沈黙と共に、

生の深さと神秘と存在の歓びを、

一切の無駄のない研ぎ澄まされた言葉で表現してくれています。

柳澤さんには他にも沢山の良書があります。

『生命の不思議』『意識の進化とDNA』
『生と死が創るもの』『いのちと医療』
『やすらぎの生命科学』『ふたたびの生』

 

秩父・羊山公園の芝桜

 

真実の言葉は、人の心をゆさぶり、

折れた心を立ち上がらせる力を持つ。

言葉の限界を知りつつ、

言葉では語り得ぬものをずっと希求している自分がいる。

その我が

この世界の優しさ

いのちの儚さ、

いのちのけなげさ

個々の存在のかけがえのなさ

あなたの存在の素晴らしさを感じている。

生は、人間は、可能性なのだ。

生きていれば、誰の人生にも心が折れることが起きてくるけれど、

それでも、

生きてていこうよ、ホモ・サピエンス!

週末に秩父ワークショップがありました。

テーマは「自分らしさと自分の才能を知り、天が与えてくれた自分のお役目を探求し、その「約束された道」を歩く、でした。

私の仕事の底辺にある想いは、常に、変わらず、ここなんだなあと思います。

 

 


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岡部明美
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心理カウンセラー、セラピスト、研修講師、作家、東海ホリスティック医学振興会顧問
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