認知症の母との楽しい会話

認知症の母との楽しい会話

 

母が脳梗塞で倒れ緊急入院したと連絡があった時は、今度はもうだめかと思ったが、我が母の生命力強し。

先日の主治医の話では、右手に麻痺が残る可能性はあるが大丈夫そうだと。

今日は目に力がもどっていた。

これまでも2回、覚悟をしてくださいと医師に言われた状況があったのだが、その度に見事に蘇ってくる。

 

 

我が母は相当にしぶとい。私の生命力の強さと能天気な性格は母親譲りだ、完全に。

しかし、3ケ月で10キロ痩せたというから痛々しい姿だ。

認知症もかなり進んでいる。

今日は私を見るなり、「あんたいつまで独身やってるの!!早く結婚しなさい。誰かいい人いないの?お父さんみたいな優しい人と結婚しなさいよ!」と言うではないか。

一瞬、ギクっとしたけど、

「私そんなに若く見えるの?独身に見えるんだあ、嬉しいわあ」と言ったら、

「早く孫の顔が見たいのよ」と言う。

息子の写真を見せて、

「はい、お母さんの孫ですよ。おばあちゃんのタラコスパゲティが世界一美味しいって言ってるまあちゃんだよ」

と言ったら、

「あんなたも女手一つで子供を育てて、ずいぶん苦労したね」と言う。

言うことメチャクチャでも、太っていても、痩せっぽちになっても、なんでもいい。

生きていてくれているだけでいい。

父とのことも、母とのことも、未完了の感情を癒すことは過去にとことんやったから、今はただ老いていく母が切なく愛おしい。

 

 

母と一緒に湯河原「ご縁の杜」に行った時に撮った写真と、最近撮ってもらった私の写真を見せたら、

「私の若い頃の方がきれいだったわね。あんたは私の次だね。お父さんもそう言ってた」

という強気の自惚れ発言を聞いて、ああ、まだまだ生きるわ、この母は、と思った。

小学校3年で実母を亡くした母の人生がどれほど痛みに満ちた人生だったのかと思えるようになった時、

私の母という存在だけではない、一人の人間、一人の女性としての母の人生を見られるようになった時、

はじめて私は、大人になれた自分を感じた。

 

 


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心理カウンセラー、セラピスト、研修講師、作家、東海ホリスティック医学振興会顧問
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