目次
この時代への深い「問い」
もうだいぶ前になるけれど、「風の谷のナウシカ」を最初に見た時の衝撃は忘れられない。
その後、宮崎作品は次々に見た。大好きな作品がたくさんある。世界中で宮崎アニメが人気があるのも頷ける。
私は特に人間と多様な生き物たちと大自然の関わりを描いた作品が好きだ。
大自然という神への「畏怖」を忘れた頃から、
この星が、この世界が、この国が、
何かおかしな方向に進んでいるということをずっと感じていた。
宮崎作品には、この時代への深い「問い」がある。
その「問い」を感じた人は、自分が今生きている場所で
その「問い」に「応えて」いきたいと思うのかもしれない。
自分は、何に、どうやって応えていきたいのか。
「答」に出会えるのは、
「応えていきたい」
という想いの後、
行動し続けた後なのだろう。
「問い」が深ければ深いほど、
「答」は一様ではない。
一様ではなくても、
個々人の小さな私の想いの総和は、
全体を変えていく。
「応えていきたい、自分なりに。自分が歩いていきたいと思ったこの道で」
そういう思いをもっている人が最近私の周りでとても増えている。
波動の法則で言えば、自分の「問題意識」や「志」や「感性」と共感・共鳴する人とは、
引き合うわけだから、
最高最善のタイミングで出会うようになっているのだ。
このことを昔から「類は友を呼ぶ」と言ってきたわけだ。
「引き寄せる」のではない、
惹き合うのだ。
国民の幸福度の高さ
昨年2月にスウェーデンに行った。
世界の中でも国民の幸福度が最も高い北欧。
中でもスウェーデンは、持続可能な開発目標 (SDGs)の国際ランキングでは1位だ。
このツアーは、社会や暮らしの中に浸透したスウェーデンのサステナビリティ(持続可能社会)を見学することが一番の目的だった。
スウェーデン人の家庭も訪問させていただいた。
地域暖房システムやゴミを全て資源として循環させるシステムはすごい。
スーパーマーケットの商品はオーガニックは当たり前。
缶や瓶を返却する場所が店の横にあり、
換金するか、そのお金を開発途上国援助に寄付するかを色違いのボタンで選べるシステムがあるのには驚いた。
建築家に頼んでも作ってくれなかったので、仲間達が理想の住宅と環境を自分たちで作ったというエコビレッジは素晴らしかった。
その建築 、環境、ライフスタイル、住民の助け合い、支えあいのシェアリングシステムがすごい人気を博した。
コミュニティの中には、いらなくなった服や絵本・家具・雑貨などを置く小部屋があり、
必要な人はそこから持ち帰って使っていいのだ。
このエコビレッジは建築後3年で3倍の価格になったにも関わらず、
築後25年経っても、75%の住民が居心地がとてもいいため住み続けている。
この共同体感覚の自発的エコビレッジが今、
北欧一の大都市ストックホルムの街づくりにまで影響を与えているのだと言う。
一人当たり名目GDPは日本より上
観光資源など何もないと言われていた人口500人の村に世界中から年間30万人が訪れる「氷のホテル(アイスホテル)」がある村も魅力的だった。
スウェーデンは、グリーンエネルギーへの転換が年々増加している。
ゴミ は、リサイクル率99%だというから驚きだ。
ゴミという概念がそもそもなく、全て大切な資源と捉えているのだ。
地球温暖化の原因のCO2も大幅に減っており、マイナス24%
一方で、経済は年々成長している。一人当たり名目GDPは日本より上だ。
「人間+環境+経済」のバランス
このツアーは、11期LPL養成講座を受講してくれた井関産業社長の安並潤さんが企画してくれた。
安並潤さんは、今、「人間+環境+経済のバランス」を取る持続可能な発展を導入している環境大国、サステナビリティ先進国のスウェーデンを多くの人に紹介している。
このツアーは、エコ建築や、オーガニック、エコライフ、サステナビリティに関心のあるLPL養成講座の受講生に声をかけてのツアーだった。
メンバーは一様にこのツアーでインスパイアされ、自分のビジネススタイルを大きく変容させていったのだ。
そのお一人は、浜松で人気の飲食店を5店舗経営しているチルダイナー社長の伊藤匠氏。
スウェーデンから帰ってから伊藤匠社長が取り組み始めたイノベーションは、
以前とはもう次元が違うということがわかる。
伊藤匠社長が今取り組んでいることを文章にして送ってもらったので紹介しようと思う。
チルダイナーを率いる伊藤匠さんは、社員から「うちの社長は圧倒的なリーダーです」と言われている。
ビジネスを通し、食の危機、環境危機の解決に向けて行動する
チルダイナーでは” ビジネスを通し、食の危機、環境危機の解決に向けて行動する”
という新たなミッションを掲げ、行動し出しています。
チルダイナーの創業は2007年。
1店舗目がいきなり浜松でも人気の繁盛店になり、勢いついた我々は、
「浜松NO1になろう!」
とか、
「100店舗やろう!」
という目標の元にみんなで頑張っていました。
しかし、自分自身が色々なビジネス研修を受けたり、
岡部明美さんのLPL養成講座を受けたり、明美さんに毎年社内研修をやっていただいている中で自分の意識がかなり変わっていきました。
一度きりの人生で自分が本当にしたいことはなんだろう、、、
と、自分のいのちの使い道と使い方、自分の在り方、生き方、経営の真の目的にとことん向き合うようになりました。
そして、出てきたのが、仕事を通して、飲食業として世の中に良い価値観を広めていきたい。
より良い世界を次世代につなげていくという強い想いでした。
世の中に大きな影響を与え、
この世界を少しでもいい世界にするために自分は、うちの会社は何をすればいいのかという真実の想いに向き合った結果溢れてきた想いでした。
この想いが内側から込み上げてきた時に先のミッションができあがりました。
このミッションは、スケールの大きな途方も無いことにも思えますが、
ここをやりきったら自分の人生は悔いはなかったと思えるし、
考えるだけで燃えてきます。
社員のみんなに100パーセントこれをやっていこう!
と初めて迷いなく心から言えるものが見つかりました。
浜松の隠れ家ショップ「くずし之助」は、県外からも食通がやってくる名店
効率と生産性を追求した「食の大量生産」「大量消費」「大量廃棄」
地球では森が消え、水は枯れ、土地は砂漠化が進み、地球温暖化が進み、
地球は持続不可能な状態にあります。
そしてそれらのものすごい大きな要因の1つに、
効率と生産性を追求した「食の大量生産」「大量消費」「大量廃棄」という食の現状があるのです。
自分達の食べているものがどこでどう作られているか、
更には何で作られているかも分からず、
安さや便利さを求める消費者、
環境や身体に及ぼす影響は二の次で、
効率と生産性を追い求める「工業的畜産」「工業的農業」を推し進める生産者。
食は命です。人の体は全部食べ物でできています。食に対するそのような価値観もなくなり 、食に対する感謝も無くなっているように思います。
チルダイナーでは、全店LEDに変え、食材のロスをなくすために最新の機器を導入。
ドライブレスプログラムの導入。プラスチックストローの廃止。
安全・安心のこだわりの調味料を探して使っています。
さらに、地元浜松で味にこだわり、且つ環境に配慮した畜産、農業をやっている生産者さん、
禁漁期も充分にあり、採りすぎない漁業をしている地元漁港といったところとつながり、
素材を仕入れる、ということに力を入れています。
それらこだわりの素材を使い、最高の商品にして提供し、感動してもらうことで本物の良さが知られ、
値段には理由が絶対にある、安かろう悪かろうは良くない、
という価値観が生まれてくるのでは、と思います。
昔はカッコいいと言われていたタバコも今は、
まだタバコ吸ってるの?という風に変わり喫煙者が減ってきた。
それと同じように、どう作られたかわからない物や、
持続不可能な生産方法で作られたものを選ぶのはカッコ悪いよね、、、となっていくと思っています。
多少高くても環境や身体に配慮した物、店を選ぶ人が増えれば持続不可能な生産者は減っていきます。
そういう流れが起きれば、
持続可能な生産者さんが残り、
地球は持続可能に向かっていくと思います。
チルダイナーは今後更に地産地消にこだわっていきます。
売り上げの何%かを「放流」や「植林」に使うルールをつくりました。
こだわっている生産者さんともっと広く深くつながり、タッグを組んで行きます。
こだわりを発信していくのと同時に、商品力、人間力、空間力を磨き続け、
「やっぱりチルダイナーは違うよね」
「ここが言うなら間違いないよね」
と思ってもらえる真の実力をつけていきます。
自分達の影響力で食に対するかっこよさの価値観を変え、持続可能な地球に変えていきたい。
振り返れば、10代の頃から砂漠化の問題に関心があり、環境問題に対する意識は高い方だったと思います。
島根大学の農学部に入って学んでいたことや若い時代の純粋な問題意識や関心が今になって蘇ってきた感じです。
学生時代から、パタゴニアという会社はすごいなと憧れていました。今でもです。
自分の原点はそこにあったことを思い出し、初心、原点帰りをし、
今の時代のニーズと自分たちの本当の喜びをミッション、ビジョンに据えたことで腹が決まりました。
「トゥクトゥク」のイケメンシェフの後藤直樹さんはメディアからの取材が後を絶たない
社員全員で心の学びを続けてきた
働き甲斐という部分では、かつてトップダウンでやっていた頃は、
「弱みをなくしていく人づくり」をしていました。
しかし今は、
「違いを認め合い、個性や強みを伸ばす人づくりへ」と大きく舵を切りました。
岡部明美さんに5年前から毎年社内研修をやってもらい、
岡部さんが提唱する「多層成熟組織」を目指し、
社員全員がエニアグラムを学び続けることで、自己理解、他者理解が深まっています。「協働」の精神が生まれています。
囚われを解放するバイロン・ケイティワークも学び、社内の人間関係で対立や葛藤が起きた時は、
人を責めるのではなく、皆自分の囚われやジャッジメントを内観することをやっています。
個々の本来の輝きを引き出し、発揮することを「成長」と定義し、
みんなで、「仕事を通して人間として成長していくこと」を目指しています。
かつてのチルダイナーは、自分も社員も皆個性が強く、アクも強く、価値観や性格の違いが大きいことから、人間関係が中々うまくいかないことが多かった。
心理カウンセラーであり、感性ビジョンコーチングのコーチでもある岡部さんの社員研修を通じて、
自分を知り、他人を知る「心の勉強」をし続けることで、違いを認め合う社風に変わっていきました。
経営に最先端の心理学を取り入れ、互いに学び合うことで、
本音で話し合いができ、協力して仕事ができるようになり、
個人としても店としても良いパフォーマンスができるようになってきています。
みんなが自分自身の成長に取り組み、チームワークがよくなったので、
社風が以前とは全く変わったと思います。
その結果、業績もよくなり、客層もよくなり、リピーター率が上がり、個々の店のファンが増えてきました。
一人ひとりが輝くチャンスをもらえる会社
今までどこにも自分の居場所がないと思って生きてきた社員が
「チルダイナーだから自分は居場所があるし、認めてもらえるし、自分を信じて仕事ができる。初めて自分の居場所ができた。仲間ができた。生きててよかった」
と言ってくれた時は本当に嬉しかった。
またある中堅社員が、
「うちは他の会社では見捨てられるであろう人でも見捨てないし、一人ひとりが輝くチャンスをもらえる会社だ」
と言ってくれた時は、正直、心が震えた。
今までの苦労や努力が報われたと思った。
この方向性で間違ってない!
このビジョン、ミッションをこの仲間たちと実現する!
という熱い想いが込み上げてきました。
仕事を通して個々の輝きを引き出す
昨年2月のスウエーデンツアーから帰ってから、自分のビジョン、ミッションが明確になったので、ホームページも全く新しくしました。
新しいHPは、名古屋の株式会社サンアストの佐治邦彦氏にお願いした。
自分は今、いくつかの飲食店のプロデュース&コンサルタントの仕事もしていますが、この仕事も非常に楽しい。
一番新しいところでは、藤田周一氏が島根県松江市にオープンした、
「ビストロ ENG I」です。
この店はオープン当初から人気を博し早くも繁盛店になっています。
出雲大社に行かれる方はぜひお立ち寄りください。とてもいいお店です。
チルダイナーは今業態の違う飲食店を5店舗やっており、雑誌や地元テレビでも度々取り上げてもらっています。
これからも働く仲間の個性や価値観の違いを認め合い、仕事を通して個々の輝きを引き出し、それぞれの能力や魅力を存分に発揮してもらい、
会社全体で、お客様、業者さん、地域、日本、地球に貢献できる会社を目指し続けます。
チルダイナーの5店舗
●くずし之助(この店のみ開くのにパスワードが必要です。3が一つでも入っていれば開きます)
岡部明美ワークショップのお知らせ
◆「ボス型マネジメントからの脱却、ミッション経営の切り札1on1実践ワークショップ」
岡部明美&小倉広&上谷美礼
2019年11月29日(金)~12月1日(日)
湯河原リトリートご縁の杜
◆お問い合わせ、お申し込み
岡部明美公式サイト
「ワークショップ」「個人セッション」「LPL養成講座」の情報はこちらをご覧ください。
書籍&CDのお知らせ
『私に帰る旅』
(学芸みらい社)
角川学芸出版から刊行された本書が、
装幀も新たに学芸みらい社から刊行されました。
Amazonで購入できます
全国の書店でもご注文できます
『約束された道』
(学芸みらい社)
2017年6月刊行と同時に増刷。
2018年4月第3刷決定。
Amazonで購入できます
全国の書店でもご注文できます
『もどっておいで私の元気!』
( 善文社)
1996年5月刊行から22年間のロングセラー。第12刷。
Amazonで購入できます
全国の書店でもご注文できます
『いのちの花』
(CD)
¥2,000
CDは講演会、ワークショップ等で販売しています。必要な方は、Facebookのメッセンジャーにご連絡下さい。
投稿者プロフィール
-
心理カウンセラー、セラピスト、研修講師、作家、東海ホリスティック医学振興会顧問
▼詳しくはこちら
最新の投稿
- Being・言葉・レビュー2024.08.19依存症は、孤独の病です自分が自分のこと好きになれなかったからだろう。依存症者(アデ...
- 旅・紀行文・エッセイ2024.08.01ひとり夏休みは1週間の断食リトリート毎年、「家族夏休み」と「ひとり夏休み」を両方楽しんでいる。「...
- インナージャーニー(自己探求)2024.01.24人はみな、魂の遊行(スピリチュアルジ...京都に行く機会があったらぜひ訪れてみたいと以前から思っていた...
- Being・言葉・レビュー2023.06.19銀河鉄道の父はヤバかった第158回直木賞を受賞した「銀河鉄道の父」(門井慶喜著)の映...