目次
20代、一人暮らしをしていた下北沢のオンボロアパートで、詩集をよく読んでいた時期があった。
心がパサパサに渇いている時は知らずに詩集に手が伸びた。
目で読むだけでなく、声に出して朗読することも多かった。
現代詩の女性詩人の中では、
茨木のりこと吉原幸子と新川和枝が特に好きだった。
吉原幸子については、
2018年3月6日に
というタイトルでこのブログに書いた。
わたしを束ねないで
吉原幸子の次に出会ったのが新川和江だった。
初めて新川和江の詩集を開き、
この「わたしを束ねないで」を見た時、
私はなぜかおいおい泣いたのだった。
結婚もしていない私が、
妻という座も、
母という座も、
嫁という座も、
全く経験がないのに、、、
おそらく個としての私の涙ではなかったのだと思う。
女たちのいのちのラインに刻まれた嘆き悲しみであり、
女たちの集合無意識に刻まれた、女という性の抑圧と苦渋の歴史の涙への感応だったのかもしれないと、心の学びをしてきた今は思える。
妻という名、母という重々しい名
「わたしを束ねないで」
新川和江
わたしを束ねないで
あらせいとうの花のように
白い葱のように
束ねないでください
わたしは稲穂
秋 大地が胸を焦がす
見渡すかぎりの金色の稲穂
わたしを止めないで
標本箱の昆虫のように
高原からきた絵葉書のように
止めないでください
わたしは羽撃き
こやみなく空のひろさをかいさぐっている
目には見えないつばさの音
わたしを注がないで
日常性に薄められた牛乳のように
ぬるい酒のように
注がないでください
わたしは海
夜 とほうもなく満ちている
苦い潮 ふちのない水
わたしを名付けないで
娘という名 妻という名
重々しい母という名でしつらえた座に
坐りきりにさせないでください
わたしは風
りんごの木と
泉のありかを知っている風
わたしを区切らないで
,(コンマ)や・(ピリオド)いくつかの段落
そしておしまいに「さようなら」があったりする手紙のようには
こまめにけりをつけないでください
わたしは終わりのない文章
川と同じに
はてしなく流れていく
拡がっていく 一行の詩
ページをめくるように時代が変わっていく
元号が「令和」になってから、人や場のエネルギーが明らかに変わってきたように思う。
「令和」とは、天がそれぞれの人間に託した愛と平和の時代を創るようにという言霊だそうだ。
令は、ゼロ(ゼロポイントフィールド、サムシング・グレード)のことで、
宇宙の意思、神の計らいというものが、我が人生にどう働いているのかということを観察して見る視点と言う人もいる。
和は、和食や和装という言葉があるように、日本そのものの精神であり、日本の文化の意味合いもある。
調和、平和の「和」でもあるから、個人の心の平和が、世界の平和を作る道の原点であることも意味合いも含まれているだろう。
古い時代の価値観が今音を立てて崩れていくのを感じる。
ページをめくるように時代が変わっていく。
”時代の意識“がどこに向かっているのか
私は、なぜか、昨年から今年にかけて、
“時代の意識”がどこに向かっているのだろうということに意識を向けたブログをよく書いている。
元号が変わることなど知らなかったにもかかわらず。
2019年1月22日
『誰ひとり置き去りにしない ~What are the SDGs?』 ~
2019年2月14日
2019年2月19日
自分の人生の主人公として立つ
元号が「令和」になるということがわかってからの今年のワークショップでは、
セッションのテーマ(主訴)は、いずれも夫婦関係、嫁姑関係、親子関係、子どもができない、男の子ができない跡取り問題、相続、事業継承の問題が多く、
テーマ自体は普遍的とも言えるテーマなのだが、
変わってきたのは、個人がまず自分の抱える問題を通して、
自分自身の人生の意味や魂の目的という視座を持っている人が多くなっているということだ。
カール・ロジャーズは、「最も個人的な問題は、最も普遍的な問題である」という言葉を残している。
ワークショップや個人セッションを通して、クライアントさんが抱える苦悩に22年間も触れてきたので、ロジャーズのこの言葉は本当にそうだと思う。
長い男性優位社会、家父長制度は今尚、女性たちの心を支配している。
女性が参政権すらなかった時代は終わっているにもかかわらず。
女工哀史の時代など全く知らないという世代がほとんどであるにもかかわらず。
「わたしを束ねないで」
の詩は、女性たちがひとりの人間として生きるということが、
世間の常識、社会通念から言っても本当に困難な時代だった時からの女性達の心の叫びだったろう。
「令和」に元号が変わるということがわかってからの今年の秩父ワークショップでも安曇野ワークショップでも、
女性参加者の主訴は、驚くほど酷似していた。
個人の問題のようでありながら、女性たちが社会、文化的に条件付けされてきた古い価値観を脱ぎ捨て、
自分の人生の主人公として立ちたいという強いエネルギーを感じた。
その自分が、この人生で自分が本当にやりたいことは何なのかという探求、
魂が触れ合うような真実のパートナーシップとは何かを真摯に探求する姿勢は、
その場にいる多くの人のハートと共鳴現象を起こした。
家族の在り様も、パートナーシップのパターンも結婚の意味合いもこれからはどんどん多様化していくだろう。
昭和の時代までは、外側の束縛からの自由への希求が、女性解放の大きな動機であり、自己表現への“いのちの発露”だった。
しかし、これからの時代は、自分の思考が自分を監視・管理・束縛していたことに気づき、
自らその呪縛を解き放っていく女性たちが増えていくのだと思う。
いや正確には、そういう女性たちを応援していきたいのだ。私自身が。
10代からずっとそのことが、私自身の生きるテーマでもあったから。
「悲しみの連鎖」を今ここで止める
GWが始まる直前に開催した安曇野ワークショップ。
主催してくれたのは、昨年12期LPLを受講してくれたはるちゃんこと島崎晴美さん(ヨガ教師)
今年13期LPLを受講するあずみんこと江尻あずみさん。
はるちゃんが安曇野1Dayワークショップについて書いた文章が素晴らしいのでここに紹介します
はるちゃんのブログ
令和の時代を目前にし、平成最後となる岡部明美さんのワークショップ。
18名の方々が、自らの新しい人生の扉を開くカギを見つけに集まってくれました。
みんなそれぞれに内なる問いを持ち、
自分の心と誠実に向き合って、
自分の本質につながって魂の望みを叶えたいという、深い思いを感じます。
昨日は6時間という限られた中で、3つの大まな板(公開セッションの通称)が。
あけみちゃんのワークショップは通常3Days。
1dayだからあっさりなのか、と思いきや、
3daysに匹敵するほどの濃厚さです。
そしてそのどれもが、奇しくも共通のテーマ、
「悲しみの連鎖」を今ここで止めていこうという思いが強まるものばかりでした。
長い年月を結び合わせる、
自分を最先端にした命の連鎖。
さかのぼれば知覚すらできない無限の命の連鎖。
その中で、
人がひとりの人間として、
「ただ生きる」ことを否定され続けてきた時間があり、
自分である前に、
女であり、妻であり、
母であり、嫁であらねばならなかった。
男であり夫であり、
父であり旦那であらねばならなかった歴史がある。
その時間や連鎖の最先端が自分。
小さなころ傷ついてしまった小さな私が決めたルールを、
未だに自分が一番信じ込み、
そのルールを破る気持ちにさえならず、
ずっとその思い込みの中で、制限をもって生き続けてしまう。
命は本来多様性を包含し、調和と統合に向かって限りなく広がっていくもの
心の制限によって、その拡大のエネルギーは分散され混乱する。
宇宙法則の秩序に反しちゃうんだな。
だからそこに苦しみや嘆きという感情がわきあがる。
そこに生まれてくる嘆きをもとに心の反応を紐解いていくと必ずと言っていいほど、
原家族での体験、親との関係にたどり着く。
そしてその脈は、祖父母、曾祖母、と繋がりを見出せていく。
大まな板は、この無意識層に深く刻まれ知覚できない連鎖をファミリーコンステレーションで見ていく。
あぁ、しかししかし、
あけみちゃんの大まな板は圧巻だ。
愛の洞察力が深すぎて。
その場に立たせていただくだけで自分の深い部分が揺さぶられる。
それぞれの人生に起きているドラマ、ストーリーはまったく別ですが、
その奥に流れる現実の核となる部分は、私たちの核心なんですね。
ワークショップが始まる前にハロ現象と環水平アークが長い時間見られた
古い条件付けされた思考パターンを木っ端微塵にする女性
そして、今回安曇野ワークショップの参加者の中に、
私の大好きな作家であり哲学者の池田晶子さんのの内弟子の堀之内通子さんがいらっしゃいました。
私は池田晶子さんの本は全て読んでいる。
同じ本を繰り返し読むほど好きなのだ。
池田晶子さんはまさに女性たちだけでなく、男性も含め、
古い条件付けされた思考パターン、
思い込み、信じ込みというビリーフを木っ端微塵に打ち砕く。
それはそれは痛快。
「思考」を「叡智」にまで高めて表現している、
現代日本の「知の巨人」の一人だと私は思っていたので、
亡くなった時は本当にショックだった。
吉原幸子さん同様、池田晶子さんも、美貌も知性も半端ない。
その池田晶子さんのお弟子さんであり、秘書の堀之内通子さんもFBに安曇野ワークショップの感想を書いてくださった。
新しい扉を開く
去年の暮れからとってもお会いしたかったセラピストであり文筆家の岡部明美さんのワークショップ。
もう感動×感動!
出産と共に水頭症そして脳腫瘍が発覚→生死を乗り越え→人が意識していない、けれども確実に影響を受け続けている潜在意識以下の神秘を学び→私たちが繋がっていることを実感できるワークをシェアしている方(スーパー端折り)。
私自身も、出産時に生死ギリギリのところを彷徨い、
そこから「いきる」ことの神秘を実体験させてもらったこで、今がある。
明美ちゃんの底深い観察眼と、人への愛、
目の前の人を自分ゴトとして感じる共鳴力に心から感動しました。
我が恩師、池田晶子を愛してくれていることにも。。。
そしてルーミーの朗読会を益々大切にしていこうと思えました。
ワークショップのタイトル通り、新しい扉を開く大きな一歩。
明美ちゃん、主催の島崎 晴美 (Harumi Shimazaki)ちゃんをはじめ、スタッフのみなさん本当にありがとうございました。
男と女のパートナーシップ
個人が成長し、成熟していくように、本来パートナーシップも成長し、成熟していくものです。
私自身も今の夫以前のパートナーシップでは語るも恥ずかしく、思い出しても心がヒリヒリするような痛い思いをいっぱいしてきました。
愛を学ぶ体験は本当に痛いです。自分の未熟さゆえに自分も相手も傷つけてきました。
でもその経験は決して無駄ではなかったし、最も自分を成長させてくれました。
人生の苦悩は数多ありますが、男女の関係性の愛のもつれほど身が引き裂かれ辛いものはないでしょう。
愛ゆえの依存や執着やコントロールドラマで私たちは苦しみますが、全ては愛を学ぶレッスンです。
パートナーシップにおける根源的な問題の理解と愛を成長させて真実のパートナーシップを築いていきたい、
自分の人生の主人公としてちゃんと自分の人生の舞台に立ちながら、大切な人を本当に大切にする心地良いパートナーシップを築きたいと心から思った時から変容への道が開かれていくでしょう。
YouTube【あけみちゃんねる】は、月に1回、“徹子の部屋”風に毎回ゲストを招いての「ライブトーク」(1時間)と
『もどっておいで私の元気!」(善文社)の「朗読YouTube・詩と音楽と映像のシンフォニー』(約4分)の2本立てのチャンネルです。
多くの方にチャンネル登録していただきありがとうございます。
【岡部明美 朗読Vol.06】
タイトル:自立
2021年・岡部明美の活動
●6月4日(金)〜6日(日)
湯河原「ご縁の杜」で岡部明美とアドラー心理学講師/カリスマ企業研修講師の小倉広さんとのコラボワークショップがあります。
テーマは
「カウンセリング型1on1コミュニケーションを学び、組織の健全度を上げる」
〜組織に心理学の学びを取り入れることで社風が格段によくなる〜
●7月31日(土)~8月2日(月)
テーマは
「パワー・オブ・ビーイング〜存在の力~」
● 9月3日(金)~5日(日)
テーマは
「幸せな人間関係と人生を豊かにする仕事」
● 11月5日(金)~7日(日)
テーマは
「自分の本質とつながり、風の時代を軽やかに生きる!」
● 12月3日(金)~ 5日(日)
テーマは
「自分の能力と魅力を発見し、自分らしい人生を生きる」
岡部明美《個人セッション・ワークショップ・LPL養成講座情報》
【2021年の予定】
●ワークショップ・LPL養成講座
岡部明美LP L養成講座の認定セラピストがオンラインで個人セッションをしています。
書籍&CDのお知らせ
●拙著2冊以上をご希望される方は、定価の2割引き、郵送費当方負担でお送りいたします。
●お申込み(お名前・ご住所・電話・メルアド・本のタイトル・冊数を書いて下記にお送りください)
『私に帰る旅』
(学芸みらい社)
角川学芸出版から刊行された本書が、
装幀も新たに学芸みらい社から刊行されました。
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『約束された道』
(学芸みらい社)
2017年6月刊行と同時に増刷。
2018年4月第3刷決定。
Amazonで購入できます
全国の書店でもご注文できます
『もどっておいで私の元気!』
( 善文社)
1996年5月刊行から24年間のロングセラー。第12刷。
Amazonで購入できます
全国の書店でもご注文できます
『いのちの花』
(CD)
¥2,000
CDは講演会、ワークショップ等で販売しています。必要な方は、Facebookのメッセンジャーにご連絡下さい。
投稿者プロフィール
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心理カウンセラー、セラピスト、研修講師、作家、東海ホリスティック医学振興会顧問
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