真実を知りたいのなら、知識を捨てなさい

真実を知りたいのなら、知識を捨てなさい

 

 

自分の感受性ぐらい

ぱさぱさに乾いてゆく心を

ひとのせいにはするな

みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを

友人のせいにはするな

しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを

近親のせいにするな

なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを

暮らしのせいにはするな

そもそもが ひよわな志にすぎなかった

駄目なことの一切を

時代のせいにはするな

わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性ぐらい

自分で守れ

ばかものよ

詩集「自分の感受性ぐらい」
(茨木のり子)

 

 

いつも誰かとの関係で悩んでいた

この詩を初めて知った時は小気味いいくらいに喝を入れられて妙にスカッとしたことを覚えている。

自分が本当は何がしたいのか、どう生きたいのが定まらず右往左往していた頃だ。

そして、人を変えて、相手を変えていつも誰かとの関係で悩んでいた頃でもある。

今は特定の誰かとの関係で長期に渡って悩み続けることはなくなったけれど、人としての学びはやはり時折ちゃんとやってくる。

昔は、あまりにいつも悩み苦しんでいたので、苦しみというものが、そもそもどこから生まれるのか、

苦しみの素ってなんなのだろうというところに探求の眼差しが向かうしかなかった。

もう後戻りはできなかった。自分の内側を見る、自分を知るという道に一歩踏み出してしまったからには。

 

同じパターンを繰り返している

それは、自分の人生に起こる不快なこと、腹ただしいこと、思うようにならないことを、

相手のせい、人のせい、社会のせい、運のせいにしたところで、

根本的には何も変わらない、苦しみは全然なくならないということに心底白旗を揚げた時から始まったのだと思う。

同じパターンを繰り返しているのは自分なのだということが本当にわかったら、

それを変えられるのは自分の気づき以外にはない。

いや正確には自分の気づきではなく、気づいている意識そのものが自己の本質であることへの目覚めが起こったということだ。

その探求と目覚めのプロセスについては、拙著『もどっておいで私の元気!』(善文社)『私に帰る旅』と『約束された道』(学芸みらい社)に書いた。

自己探求は時に痛みや抵抗も起きてきたけれど、人の心の奥深さと存在の神秘、

いのちの健気さと逞しさに気づく度に、

存在・いのちは、愛以外の何物でもないということにただただ感動するのだった。

 

一気に楽になったわけではない

もちろん、ちょっと心の勉強したからといって、一気に楽になったわけではない。

ちょっと瞑想を習慣化できるようになったからといって、

すぐに心の平安を得られるようになったわけではない。

急に自分らしく生きられるようになったわけでもない。

自分が本当にやりたかったこともすぐに見つかったわけではない。

悩みが大きかったり、行き詰ったり、迷ったり、燃え尽きたりすると、

あまりにその状態が苦しいから、

劇的に自分の人生を変えてくれそうな誰かや何かを、

人は求めがちだけれど、本当は反対。

少しずつ、ゆっくり、ふるえながら、揺れながらでも、

丁寧に丁寧に自分に触れていくの。

自分を癒していくの。

もういらなくなったものを少しずつ手放していくの。

人にしてみれば何でもないことでも、

自分にしてみれば、勇気を振り絞り、こだわりを捨てなければできないことってたくさんあるから。

それに1歩踏み出せたこと、1歩近づけたこと、

そんな小さな小さな歩みの達成感を自分で認めていった時に、

自分の中に静かな自信が生まれていることに気づくだろう。

自分を大切にするってこんな感じかなぁ。

これが自分らしさなのかも。

自分が深いところで求めていたものって、これだったのかぁ。

自分の「好き」と「心地よさ」の感覚を大切に生きていいのだと心から思えるようになったら、

自分を愛するように、人を愛せるようになったら、

人間関係もパートナーシップも以前とは大きく変わっていることにある日突然気がつくだろう。

それを劇的と言うの、本当は。

劇的に人生が変わった人は、地道に努力してきたものが必ずある。

自分の感性や身体感覚に触れて、自分の中に生きる物差しを見つけるということを丁寧にやってきた時間がある。

つまり、外側の誰かに教わる正解や真理やアドバイスに従うのではなく、

自分の深いところから聴こえててくる声に耳を傾けている中で、

探し求めていたものが自分に中にあったということが腹落ちするという体験をしている。

遠回りのように見えるけれど、小さな勇気と小さな行動と小さな気づきを積み重ねていくことが、

実は自己の本質につながるいちばんの近道だったという体験をしている。

ほんとうに「わかる」というのは、

それを「生きる」ということなのだ。

 

アイデンティティの破綻

前回のブログに書いたように「デッドゾーン」は、

アイデンティティの破綻、関係性の破綻、

これまで作りあげたものの崩壊と喪失のステージだから耐えがたい苦しみだ。

しかし、このコーナーを曲がった後に来る「相互依存」のステージは、

それまでの人生とは全く質が変わる。

前回ブログ

一緒にいるのに孤独、、、パートナーシップの春夏秋冬

自分の道を探している人は、苦しいデッドゾーンを超えて、

初めて、これが自分が本当に求めていたパートナーシップだったのか、

もしかしたら自分のミッションはこれなのかも知れないと腹落ちするだろう。

真実のパートナーシップも、ミッションも、

古い自我の死と再生のプロセスの中で静かに生まれようとしていたのだということが後になって初めてわかるだろう。

天命を生きていることがわかる10の兆候

 

早く知りたい、変わりたい、楽になりたい

私の本の読者やブログを読んでくださっている方は、

手取り早く「知りたい」「わかりたい」「変わりたい」「解決したい」「楽になりたい」「できるようになりたい」

と思っている方は少ないのではないだろうか。

むしろ反対で、不条理とも思えるような人生の困難を抱えながらも真摯に自分に向き合っている方、

かけがえのない自分の人生を本気で生きたいと思っていらっしゃる方、

本質的なことに興味、関心のある方が多いのではないかと思う。

手っ取り早く知識や情報ややり方だけを求めている方は、私のブログなど読まないだろう。

世の中にはたくさんのハウツー本があるし、

知識や情報やハウツーは、他の方がたくさんブログに書いている。

知りたいとことは検索すればいくらでも出てくる。

敢えて私が書く必要もないと今までは思っていた。

しかし、前回のブログで私としては珍しく心理学的知識を書いた。

ビジョン心理学やエニアグラムのプロセスの進展を学んだ方なら誰でも知っている知識だ。

しかし、ことの他、前回のブログは読みにきてくれる人が多いことに驚いた。

そして、何人かの人から、私がどんな学び、知識を得たことで探求の道に入り、

どんな気づきを得ていったのかをもっと知りたいと言われて意外だった。

前回のブログに書いたように、私自身は、

デッドゾーンの時期に、自分自身の「依存」「共依存」「自立」、「機能不全家族」「AC(アダルトチルドレン)」「投影、抑圧」の問題にとことん向き合った。

単に知識として知るだけでなく、何度も何度も自分の問題をワークした。

次第に自己観察する目が養われていった。

どれほど心理学や哲学や精神世界の本を読んでも、

知識を得ただけでは、意識が大きく変容することはないということを知った。

意識が変わらなければ、現実は変わっていかない。

知識は外側の誰かによってもたらされるものだからだ。

気づきは自己の内側で起こるもの。

自分の中に求めていた真実や答を発見することだ。

それが自己信頼の始まりだ。

デッドゾーンは、外側にある知識とやり方では超えられない。

心という深い海にダイブして、自分という存在の奥深くにあるもの

ーそれを魂の世界と言ってもいいし、ハイヤーセルフと言ってもいいし、

存在の本質である神性、仏性と言ってもいいがー

とにかくこれまで、「これが自分」と思い同化していたものから解放されるにつれて、

視野が広がり、視座が高くなり、より大きなものに自分が守られているという安心感を覚えるようになるだろう。

そして、内側と外側、ミクロとマクロ、存在と非存在は相似形であったことを知る。

 

 

考えても考えても答が見つからないとき…

解決の糸口をみつけたくて、どれだけの本を読んでも、絹糸一本ほどの糸口さえみつからないとき…

自分のためを思って言ってくれるあたたかな助言をうれしいとは思っても、心の深い部分には少しも響いてこないとき…

それは、自分が求めている答えは”自分の中にしかありませんよ”というメッセージ。

「自分の実感から遠ざからないで。自分の内側でおこっていることに意識を傾けてみて」

「知識や助言や指導を求める自分を一度横において、ありのままの自分にきちんと向きあってごらん。探し求めていた答えが、現実を受け入れた向こう側に見えてくるよ」

「見ること、感じること、聴くこと、味わうこと、ただ素直に、まっすぐに、そのままに」

『もどっておいで私の元気!』
岡部明美著/善文社

 

 

真実が知りたいのなら、知識を捨てなさい

OSHO(バクワン・シュリ・ラジニーシ)は、

般若心経を解説している本の中で次のように語っている。

覚えておいてください。見えているものは、あなたの知識とは何の関係もありません。

実際、知識を通してみた場合、あなたはそのものを正しく見ていません。

すべての知識は投影を生み出します。知識はバイアスであり、偏見であり、結論付けです。

誰かが知識を持って真実を知ろうとしたら、その人は真実を見ることはできません。

知識はその人を盲目にするのです。

真実が知りたいのなら、知識を捨てなさい。

知識とは小さなもので、生命や存在の壮大さを把握することはできません。

もしあなたが自分の思考パターンで生命や存在を見ようとしたら、

あなたはその美しさ、そして、その真実を破壊してしまうでしょう。

 

 

心の深い海にダイブする

自己探求の道を歩みはじめてからの知識は、

私にとっては答ではなく、水先案内人として、その時々の私の人生の課題を紐解くための”ナビゲーター”としての役割を果たしくれた。

3冊の拙著には、私が学んできたホリスティック医学や心理学や心理療法や哲学やスピリチュアルな学びについても書いてある。

もちろん学んだことの全てを書いたわけではないが。

今までブログには殆ど書いていないけれど、

このことを知ると自分や人間や世界が違う視座から見えてくるかもしれないということをこれからは少しづつ書いていこうと思う。

本に書いたことと重複するものもあれば、本に書ききれなかったことを書くこともあるだろう。

人間関係、パートナーシップ、愛については、下記のブログに少しだけ書いた。

2018年12月1日
未来はいつだって、今の写し絵だから

2018年10月5日
愛のもつれ、愛の行方、そして慈悲の灯明

2018年3月10日
人間関係の春夏秋冬

 

 


 

2019年5月〜8月の活動予定

 

6月24日(月)〜6月26日(水)

◆安曇野3Daysワークショップ

『男と女のパートナーシップ』〜自分を愛することからはじまる、活かしあうパートナーシップの創造〜

私たちの悩み、苦しみの殆どは人間関係によるものですが、

中でも最も難しいのが男女の関係ではないでしょうか。

逆に言えば、恋人との関係や夫婦関係が良好である時の幸福感は何ものにも変えられません。

愛ゆえの依存や執着やコントロールで私たちは苦しみますが、全ては愛を学ぶレッスンです。

自分を愛することから始まる真のパートナーシップの探求を始めてみませんか。

◆お問い合わせ、お申し込み

安曇野3Daysワークショップ

 

 


7月1日(月)〜3日(水)

◆岐阜・美濃3Daysワークショップ

テーマは、人間関係・パートナーシップ・コミュニケーション

人生の悩み、苦しみのほとんどは、人間関係によるものです。

このワークショップではまず自己理解、他者理解を深めるため「心の仕組み」や「エニアグラム性格の9つのタイプ」を学びます。

そして、自分を活かし、相手を活かし、幸せになるコミュニケーションを体験的に学ぶワークショップです。

◆お問い合わせ、お申し込み

岐阜・美濃3Daysワークショップ

 

 


8月30日(金)〜9月1日(日)

◆千葉県・勝浦3Daysワークショップ

テーマは、自分の才能と強みと自分らしさを知り

イキイキとした人生を生きる。

自分の才能や強みはどこにあるのだろう?

自分らしさって何だろう?

自分の魅力はどこにあるのだろう?

そんな問いを持ちながら今を生きている人・

本気でかけがえのない自分の人生を生きたいと思う人に最適のワークショップです。

◆お問い合わせ、お申し込み

千葉県・勝浦3Daysワークショップ

 

 


岡部明美公式サイト

 

「ワークショップ」「個人セッション」「LPL養成講座」の情報はこちらをご覧ください。

http://www.okabeakemi.com

 


書籍&CDのお知らせ

 

『私に帰る旅』
(学芸みらい社)


角川学芸出版から刊行された本書が、
装幀も新たに学芸みらい社から刊行されました。
Amazonで購入できます
全国の書店でもご注文できます

『約束された道』
(学芸みらい社)


2017年6月刊行と同時に増刷。
2018年4月第3刷決定。
Amazonで購入できます
全国の書店でもご注文できます

 

『もどっておいで私の元気!』
( 善文社)


1996年5月刊行から22年間のロングセラー。第12刷。
Amazonで購入できます
全国の書店でもご注文できます

 

『いのちの花』
(CD)


¥2,000
CDは講演会、ワークショップ等で販売しています。必要な方は、Facebookのメッセンジャーにご連絡下さい。

 

 

 

投稿者プロフィール

岡部明美
岡部明美
心理カウンセラー、セラピスト、研修講師、作家、東海ホリスティック医学振興会顧問
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